本年度は、縦断調査の3年目(最終年度)であった。大学を卒業した研究協力者に対して、5月(第4回調査)を実施した。第4回調査の協力者数は189人であり、第1回調査(861人)比で22.0%だった。進路先は、正規雇用社員103人(54.5%)、非正規雇用社員14人(7.4%)、公務員10人(5.3%)、教員4人(2.1%)、 大学院生20人(10.6%)、大学生22人(11.6%)、無職12人(6.3%)、その他4人(2.1%)だった。第1~4回調査の全てに回答したのは、男子21人、女子82人、計103人だった。時間的展望の縦断的変化に関して、潜在曲線モデルを用いて、切片と傾きを求めた。次に、潜在成長クラス分析によって、異なる変化パターンを示すグループを抽出した。さらに、大学3年生から4年の時期に焦点を当てた潜在変化モデルによる時間的展望・アイデンティティの変化の関係についての検討から、将来目標の有無とEPSI統合との間に正の関連性があるこことが示された。 縦断的調査から得られた結果の一般性を検討するために、11月と2022年1月に、3つのオンラインウエブ調査を実施した。1つ目の調査は、大学1~4年生998人(男子487人、女子501人)。2つ目の調査は。18~22歳の社会人854人(男子426人、女子428人)。3つ目の調査は、16~18歳の社会人227人(男子112人、女子115人)。今後、これらの調査データと縦断調査データの結果を比較しながら、大学3~卒業後1年目にかけての時間的展望やアイデンティティなどの発達についての考察を深めていく。
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