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2022 年度 実績報告書

高齢者にみられる実行機能の特徴-エラー後の対応に注目して-

研究課題

研究課題/領域番号 19K03272
研究機関立命館大学

研究代表者

土田 宣明  立命館大学, 総合心理学部, 教授 (40217328)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード高齢者 / 実行機能 / エラー / エラー後の対応行動 / 反応性制御 / 予測性制御 / 抑制機能
研究実績の概要

今年度は,エラー後の対応の問題を分析した結果に基づいて,ジャーナルに投稿し,その成果を公刊できた。以下,研究期間全体を通じて実施した研究成果について研究概要を説明する。本研究は,エラー後の対応行動を認知的制御の観点から検討したものである。認知的制御とは,行動目標に従って思考および行動を制御する能力である。認知的制御には,反応性制御と予測性制御がある。反応性制御とは,対処が必要な場面になって初めて刺激に注意を向けて反応を導く,ボトムアップの即時的な認知処理を指す。一方で予測性制御は,目標(目的)を安定的に保持しつつ刺激に対応する,トップダウンの準備的な認知処理を指す。認知的制御は,発達の過程で反応性制御から予測性制御へと移行する。しかし高齢期になると,予測性制御優位から再び,反応性制御優位に戻ることが分かっている。実験の結果,この認知的制御の加齢変化は,特に日常生活における失敗(エラー)への対応に,影響することが確認された。具体的には,次の2点である。①高齢者では,エラーへの対応に時間を要した。②高齢者では,エラー時の反応内容(反応の負荷)がエラーへの対応行動に強く影響した。この実験結果から,日常場面の現象に関して,新たな研究仮説を提出できるであろう。予測性制御が優位ならば,突然のエラーに対応して,比較的スムーズに対応できる(例えば,アクセルからブレーキへ素早く移行できる)のに対して,反応性制御が優位になると,エラーのインパクトが大きく影響して,その対応に時間がかかる(アクセルを離して,ブレーキを踏み込むのが遅れる)ことを予想させる。実行機能の問題が,高齢者が起こしたアクセルとブレーキの踏み間違い事故が,時として重大化してしまう背景の一つかもしれないことが推測された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 老いに伴う「弱み」と「強み」2023

    • 著者名/発表者名
      土田宣明・春日彩花
    • 雑誌名

      心理学ワールド

      巻: 100 ページ: 16-19

  • [雑誌論文] Post-error behavioral adjustments under reactive control among older adults2022

    • 著者名/発表者名
      Tsuchida Noriaki、Kasuga Ayaka、Kawakami Miki
    • 雑誌名

      Frontiers in Psychology

      巻: 13 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fpsyg.2022.1001866

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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