研究課題/領域番号 |
19K03275
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
橋本 祐子 関西学院大学, 教育学部, 教授 (80228428)
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研究分担者 |
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
滑田 明暢 静岡大学, 大学教育センター, 講師 (00706674)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 公平観 / 道徳性発達 / 分配的公正 / 責任分配 |
研究実績の概要 |
子どもが報酬をどのように分けるのかに関する発達研究には膨大な蓄積があるが、これらの正(報酬)の分配に関する研究に対して、負の分配と考えられる責任(負担)の分配については、幼児や児童に関する発達研究は極めて少ない。また、正の分配と負の分配に同じ分配ルールを適用するか否かについて、青年や成人を対象にした研究では結果が一貫しておらず、幼児や児童を対象にした研究はほとんど見当たらない。さらに、報酬の分配については、文化によって公平な分配パターンの傾向が異なることが報告されているが、責任の分配について文化的背景を考慮・検討した研究はほとんどない。 そこで本研究は、「どう分配することが公平なのか」という児童の公平観の発達について、報酬と責任の両分配場面における調査を縦断的に行い、道徳性発達の一側面の様相を解明しようとするものである。さらには、報酬と責任の分配における幼児・児童の公平観の発達の文化差を検討するために、海外の研究者と各文化における調査方法の妥当性の検討および調査手順の共有をし、国際共同研究を行うことを目的とする。 これまで報酬と責任の両場面における分配を分析するために4つの分配タイプ(均衡、均等、利己、利他)からなる枠組みを考案し、インタビュー調査を行ってきた。また、小学生を対象とした縦断的研究として、Time1(2017年度)とTime2(2018年度)に質問紙調査を行ってきた。2019年度は、縦断的調査のTime3として、小学4年生と6年生を対象にした質問紙調査を実施した。また、これまでの成果として、小学2、4、6年生を対象とした横断的調査の結果と縦断的調査の中間結果(Time1、Time2)を国際学会のシンポジウムで発表し、海外の研究者との研究交流を行った。また、この縦断的調査の理論的基盤となる論文の執筆も進んでおり、2020年度中に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、これまでの成果として、小学生を対象とした横断的調査の結果と縦断的調査の中間結果(Time1、Time2)を国際学会のシンポジウムで発表し、海外の研究者との研究交流を行った。また、道徳性発達の一側面として、対人葛藤場面における幼児・児童の対人理解・方略の発達と教師・保育者による指導・援助について解説した記事を発表した。縦断的研究においては、Time3として、小学4年生と6年生を対象にした質問紙調査を実施した(Time1は2017年度に、Time2は2018年度に調査実施済み)。また、この縦断的調査の理論的基盤となる論文の執筆も進んでおり、2020年度中に投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度までに実施した小学生を対象とした横断的調査を2020年度中に論文化する予定である。また、2019年度に終了した縦断的調査のデータについては、分析し、論文化を進める予定である。その縦断的研究の理論的基盤となる論文は執筆中であり、2020年度中に投稿予定である。国際共同研究については、海外の研究者との交流をさらに深め、各文化における調査方法の妥当性を検討し、予備調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】2019年度に縦断的調査は実施したが、そのデータ入力については2020年度に行う予定にしたため。 【使用計画】2019年度に実施した調査のデータ入力のための人件費として使用する。
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