研究課題/領域番号 |
19K03280
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
鈴木 太 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (30542683)
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研究分担者 |
森本 武志 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (00311746)
宮脇 大 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20336788)
牧野 拓也 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命助教 (20813752)
小坂 浩隆 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (70401966)
木村 拓磨 名古屋経営短期大学, 子ども学科, 講師 (70772028)
岡田 俊 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, 部長 (80335249)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | うつ病 / 気分変調症 / 社交不安症 / 反抗挑発症 / ADHD / 過剰診断 / 過少診断 / 青年 |
研究実績の概要 |
福井大学医学部附属病院において、K-SADS-PL-5日本語版の評価者間信頼性、基準妥当性、構成概念妥当性に関する調査を行った。被験者137例のうち、70例は男児であり、平均年齢は14.8歳であった。12名の臨床家のうち2名が被験者の面接を同席面接法で行い、評価者間信頼性を検討した。また、同席面接法を行った面接者2名によって得られた「consensus診断」を主治医を含む複数の臨床家がその患者に関して利用できるすべての情報を統合することによって決定した「best estimate診断」と比較検討した。分離不安症を除いたすべての障害についてκ値で0.75を超える評価者間信頼性が示され、広場恐怖を除いたすべての障害についてκ値で0.4を超える基準妥当性が示された。 この調査では、生涯診断として、注意欠如・多動症(36.5%)、うつ病(30.7%)、社交不安症(28.5%)、自閉スペクトラム症(24.1%)、持続性抑うつ障害(21.2%)、反抗挑発症(16.1%)が主要な診断であった。双極性障害、摂食障害、素行症、パニック症、広場恐怖、分離不安症を伴う被験者の数は10未満であり、算出されたκ値の95%信頼区間は広く、基準妥当性を確認するには適切ではないと判断した。この研究成果について投稿中である。 COVID-19パンデミックの環境下で感染リスクを抑えつつ、本研究の成果を多彩な臨床場面に適用できるように、KSADS-PL-5日本語版のコンピュータ化されたバージョンであり、面接時間のより短いKSADS-COMP日本語版の開発を準備した。上林記念病院及び大阪市立大学医学部附属病院において、K-SADS-PL-5日本語版を用いた前向き観察研究を行うために研究手法を見直した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が上林記念病院に転任することが2021年度内に確定したため、前向き観察研究を行う施設が福井大学医学部附属病院から上林記念病院に変更され、2022年度から研究を開始するための準備を行った。COVID-19パンデミックはいまだ続いており、感染リスクを抑えつつ、K-SADS-PL-5日本語版を用いた前向き観察研究を行うために研究手法について討議し、見直しを行った。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19パンデミックの環境下で感染リスクを抑えつつ、本研究の成果を多彩な臨床場面に適用できるように、KSADS-PL-5日本語版のコンピュータ化されたバージョンであり、面接時間のより短いKSADS-COMP日本語版を開発する。被験者の安全を守りつつ、尺度研究及び観察研究を行うため、関係者のワクチンの接種、セキュリティが保たれたビデオチャットアプリの適宜の利用など感染予防のための対策を継続する。 福井大学医学部附属病院でK-SADS-PL-5尺度研究に参加した被験者について、前医の診断、主治医の(全情報を統合していない)臨床診断、consensus診断、best estimate診断を比較検討する。 K-SADS-PL-5日本語版を用いた前向き観察研究については上林記念病院(担当:鈴木)で先行して被験者をリクルートする準備を進めて、前医の診断、K-SADS-PL-5日本語版などの構造化面接または操作的診断基準に基づいた診断、精神障害に関する診断横断的な臨床ステージを体系的に記録する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックのため、学会参加費用が低額に留まり、次年度使用額が生じた。次年度使用額はCOVID-19パンデミックの環境下で感染リスクを抑えつつ、本研究の成果を多彩な臨床場面に適用できるように、KSADS-PL-5日本語版のコンピュータ化されたバージョンであり、面接時間のより短いKSADS-COMP日本語版を開発する費用の一部に充てる。
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