研究課題/領域番号 |
19K03281
|
研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
佐藤 美幸 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (30610761)
|
研究分担者 |
古川 心 神戸親和女子大学, 教育学部, 講師 (90760661)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 親子相互交流療法 / PCIT / 反抗挑発症 / 行動問題 / 親子 |
研究実績の概要 |
かんしゃくや挑発的な行動といった特徴を示す反抗挑戦症は対応に苦慮している保護者や保育者が少なくないが、日本における反抗挑戦症の実態はほとんど明らかになっておらず、実証的な介入研究は行われてこなかった。また、海外においても反抗挑戦症に対する介入の作用機序を検討した研究は少ない。そこで本研究では、①日本における反抗挑戦症の実態を明らかにする、②反抗挑戦症に対する親子相互交流療法の効果を実証的に明らかにする、③これまで検討されてこなかった反抗挑戦症に対する親子相互交流療法(PCIT)の作用機序を検討し、介入のどの要素が重要であるかを明らかにすることを目的としている。2022年度は②の反抗挑発症に対するPCITの効果を実証するため、行動問題に悩む親子に対してPCITを実施した。 新型コロナウイルスの拡大により対面によるPCITの実施が難しくなったため、急遽オンラインによるPCITを導入し実施体制を整えてきた。そのため研究計画に変更や遅れが生じていたが、2022年度までに反抗挑発症が疑われる2歳から6歳の子どもとその親の17ケースのデータ収集を完了することができた。いずれのケースも親が回答する質問紙(ECBI)で評価される子どもの行動問題が大きく改善し、行動観察によって親が子どもに温かい言葉がけ(具体的賞賛など)をすることが増え、また親が子どもに指示した際に子どもがその指示に従う回数が増加していた。 2022年度の結果から、反抗挑発症が疑われる子どもに対してPCITを実施することで子どもの問題行動が改善するということが我が国においても示された。今後、PCITを反抗挑発症の治療選択肢として検討することが可能になると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は2019年度から2022年度の4年間で行われる計画であった。2020年の新型コロナウイルス拡大により、当初予定していた調査と対面でのPCIT実施が困難になった。そのため、調査は延期した。また、対面でのPCITはオンラインで実施するPCITに切り替えて必要な設備を整え、セラピストがオンラインPCITが実施するのに必要なスキルを習得する時間が必要であった。2022年度までにオンラインPCITの実施はほぼ完了し、調査と研究成果のまとめを残すのみとなっている。なお、2022年度までの研究であったが、1年間延長を申請し認められている。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度となる。PCITの実施はほぼ終了しているため、データの解析と研究成果の発表を行っていく。反抗挑発症の実態調査の実施が延期になっていたため、現在調査の手続きを開始しているところである。調査についてもデータ収集が終了し次第、データの解析と成果の発表を行う。また、日本認知・行動療法学会やAnnual Conventio of Association for behavioral and Cognitive Therapies等に参加し、成果の発表や情報収集を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス拡大に伴い、当初予定していた海外での学会参加及び発表、実態調査を行なって来なかった。次年度は海外での学会参加及び実態調査にかかる費用に予算を使用する予定である。
|