平均年齢8.5歳の極・超低出生体重児221名について発達障害様症状の出現率を調べたところ、ASD様症状は31名(14.03%)、LD様症状は59名(26.70%)、ADHD様症状は50名(22.62%)、ADHDのうち多動-衝動優性型は18名(8014%)、不注意優勢型は43名(19.46%)、混合型は33名(14.93%)であった。WISCⅣの全領域IQが70未満は36名(16.29%)、80未満のBorderlineは28名(12.67%)であった。合わせて64名(28.96%)をMD群とした。検査の結果発達障害様症状が見られなかった児は92名(41.63%)であった。発達障害様症状に及ぼす周産期因子について分析したところ、脳室内出血(IVH)3-4度の児はASDのリスクを示すASSQの得点が有意に高く、平均値でカットオフを上回った。全領域IQ並びに非言語性IQについても同様に、IVH3-4度の児では、平均で75を下回った。多胎児は単胎児に比べIQが有意に高かったが、一方でASSQ得点も高かった(平均値はカットオフに達しなかった)。脳室周囲白質軟化症と慢性肺疾患の既往がある児は非言語性IQが有意に低かった。ADHD尺度の得点については、APGARスコア(1分)が低いほど高くなる有意傾向が認められた。LD尺度(PRS)の得点については、IVH3-4度の児では、言語性、非言語性、全領域全ての得点が有意に低く言語性以外は平均値がカットオフを下回った。さらに、未熟児網膜症の既往がある児は非言語性LDの得点が引かった。これらの結果は、極・超低出生体重児の学齢期の発達障害様症状の発現に周産期因子がエピジェネティックにかかわっている可能性を示している。
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