研究課題/領域番号 |
19K03283
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
鈴木 菜実子 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (70614501)
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研究期間 (年度) |
2019-03-01 – 2023-03-31
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キーワード | 精神分析 / 短期療法 / 不安障害 / パニック症/パニック障害 / 効果研究 |
研究実績の概要 |
パニック焦点型短期力動的心理療法のパイロットスタディを実施した。 HP等を通じて募集した研究計画に対して、6例の申し込みがあり、このうち2例はアセスメントの段階で中断となった。4例は、それぞれ、臨床心理士・公認心理師として10年以上の力動的心理療法の経験のあるセラピストに担当を依頼し、介入研究が実施された。 4例のうち1例は、治療開始後、初期の段階で中断となった。2例は予定していた24回のセッションを終了することができた。現在も1例を実施中である。 量的なデータとしては、それぞれのケースに対して、予定していた質問紙(パニック障害重症度評価尺度(高塩ら,2004)、Sheehan Disability Scale(SDISS)日本語版(吉田ら,2004)、ハミルトン不安評価尺度(稲田,2014)、ハミルトン抑うつ尺度(稲田,2014))による効果測定を治療開始前、治療12回目修了後、治療終結後の3地点で行った。また、あわせて治療開始前、治療開始後の2回、それぞれロールシャッハテストによる変化の測定を実施した。これらはいずれも治療者とは異なる測定者によって実施された。 介入研究のスムーズな進行と介入の等質性を担保するために、オンラインミーティングにおいて、介入技法、タイミングをPFPPマニュアルをもとにして研究代表者と介入担当者との間でディスカッションする時間を持った。 また、1件の中断事例については録音データの文字起こしを行い、中断に至った経緯について質的な分析を行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定している5例の介入研究のうち、3例のデータを取得することができた点からは、進捗はおおむね順調と言える。 3例については治療の開始、中盤、終結後の3地点でのデータを取得しており、また治療の内容についても録音データを得ており、質的な観点からも検討できる材料を取得できた。 さらに、中断に至った1例についても、その原因やプロセス等を検討すべく、録音データの分析を行うためにテープ起こしを行った。 一方で、現在1例については、新型コロナウィルス感染症への対応に伴って、緊急事態宣言発出によって、相談機関自体が閉鎖され、中断を余儀なくされている。この状況のために今後の研究の進捗は予定とは異なる可能性が大きい。
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今後の研究の推進方策 |
さらに介入研究を進めて、データの蓄積を目指すことを検討しているが、現在の状況を鑑みると、新型コロナウィルスの状況が改善しない限り、介入研究の実施は困難であり、今年度は新たな研究協力者の募集を見合わせている。現在は研究協力を得て、関東地区での介入研究を実施しているが、今後は関西地区においても同様の参加者募集を行い、介入データのさらなる取得を目指す予定であったが、これも状況を見定めて協力依頼を行うこととなる。 また、実施した介入研究の録音データの文字起こしを実施し、質的観点からも治療的効果について検討することを目標とする。 データをもとに、PFPPの創始者であるブッシュ氏にコンタクトを取り、招へいすることを検討していたが、これもオンライン等の別の手段を検討する必要があると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた介入症例のテープ起こしの費用について、途中で中断となったケースが発生したために、予定額との差が生じた。
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