研究分担者 |
安野 広三 九州大学, 大学病院, 助教 (30747994)
福盛 英明 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 准教授 (40304844)
高柳 茂美 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 講師 (80216796)
山本 紀子 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 准教授 (80726729)
面高 有作 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 助教 (80749474)
小田 真二 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 講師 (60618073)
梶谷 康介 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 准教授 (10597272)
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研究実績の概要 |
本研究は,大学生が主体的に学べるICTを活用した心と体の健康教育を確立すべく,学生が求めるeラーニングコンテンツの充実や,コンテンツの配信の工夫,授業やワークショップとの連動などを行い,実際にそれらを用いることで大学生の心と体の健康教育の在り方を検討,評価することである.2019年度の主な目的として,学術的な内容として臨床心理学だけでなく,内科学,心身医学の視点も交えて新たなコンテンツを作成することとした. 上記の課題を達成するため,筆者が担当する大学生を対象とした講義の中で,これまで作成しているeラーニング教材を用い,225名の学生の意見を問うた.その結果,興味をもった内容については,「勉強が手につかないとき」が最も多く,次いで「ストレスの基礎知識」,「ネガティブ思考との付き合い方」であり,大学生が自己管理能力を高めたいと考えており,いかに自分の能力を発揮するかという生産性を上げる方向について関心が高いことが分かった.つまり,大学生という青年期では,疾病予防という健康教育よりも,自己実現のための健康教育が目指されると言える.その他,友人や家族との良好な関係性や自らサポートする側に回ることを想定した学びを求めていることが分かった. また,新たに作成してほしい内容として,「集中力」や「将来」,「理想と現実」,「部活とバイトと勉強と遊びの両立」といった自己開発的なものと同時に,「相手の気持ちを読み取るコツ」や「大人数の人との交流の仕方」などの対人関係やコミュニケーションの問題,「うつ病以外の精神疾患」のような精神医学的な内容,「セルフメディケーション」や「ダイエット・バランスのよい食事」,「ストレス解消としての運動」といった予防医学的な内容も挙げられていた.そのため,新たに,8つのコンテンツを作成することとした.現在,分担研究者とともにコンテンツを仕上げている段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の大学の講義にて,225名の学生に対してeラーニング教材を活用し,興味深かった内容とその理由,また学生からの要望を尋ねることができた.興味をもった内容については,大学生の日常的な実感に基づいた例示を挙げながら,自己管理能力を高めようとする内容に興味を持つ者が多かった.また,家族や友人などの身近な人に役立てたいという気持ちも多く聞かれた.そのため,教材開発では,大学生の日常に沿った問題提起を行っていくことが重要であり,具体的なアドバイスや実際にできるワークを交えた内容にしていくことが目指される. また,新たに作成してほしい内容についての記述から,「時間管理の基礎~課題の両立」,「将来に向けて~理想と現実」,「やる気を出す工夫」といった自己開発的な内容を3つ,「孤独感はどこからくるか」,「いろんな人間関係を楽しむ」,「人間関係のトラブル~ハラスメントとは」といった対人関係の内容を3つ,「うつ病以外の精神疾患」,「ダイエット・バランスのよい食事」,「ストレス解消としての運動」「〇〇依存とは?」といった予防医学的な内容を4つ,計10個のコンテンツを作成することとした.現在,分担研究者とともにコンテンツを仕上げている段階である.
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今後の研究の推進方策 |
eラーニングを用いた自己学習では,主体性やモチベーションを高める工夫が必要であり,本研究では,学生生活セルフチェックの結果に応じて,お勧めの動画を出せるような工夫を行い,主体性を促すことを計画している.この点については,学内の教材開発センターの協力を仰ぎ進めていく予定である.ただし,2020年度は新型コロナウイルス感染拡大という緊急事態となったため,学内の教材開発センターの業務が増加することが見込まれる.そのため,予定通りのことが実現できるかどうかが不透明である.その場合は,現在の状況下で必要とされる動画を新たに作成したり,お勧め動画についてはホームページ上の簡易な表示により示したりするなど,実現可能な方向に変更する予定である. また,今年度中に授業との連携した調査研究を行い,本eラーニングプログラムが大学生の主体的に学べる内容になっているかどうかについて検証を行う.また,大学院生のアルバイトを雇用し,ツイッターをはじめとする他のSNSとの連動も視野に入れながら,研究をすすめていく.
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