研究課題/領域番号 |
19K03289
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
日高 友郎 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70644110)
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研究分担者 |
鈴木 祐子 東京医療学院大学, 保健医療学部, 准教授 (90791830)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 質的研究 / 災害心理学 / 意味づけ / 多職種連携 / 地域 / 復興 / ナラティブ / 居住福祉 |
研究実績の概要 |
本年度は放射性廃棄物中間貯蔵施設の建設により故郷を喪失した地元住民における「現況と望郷」の状況把握、ならびに支援に係る「多職種連携の現状」の把握が課題であった。また、前年度の課題であった「歴史としての臨床心理学」の付置検討が未解決であったため、本年度に取り組むべき事項とした。 「現況と望郷」については疫学的手法での調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の流行により、調査協力の依頼先であった行政機関・専門職が対応困難となり、予定通りの調査を行うことはできなかった。一方で、3名へのインタビュー調査を実施した。これにより、インタビューについては、その対象者ならびに回数ともに当初想定に達した。また精神医学を専門とする研究者とともにインタビュー実施ならびに分析を行う体制を整えたことで、データの解釈に幅を持たせた。 「多職種連携の現状」については、研究分担者との文献検討に加え、前年度に実施した学会シンポジウムにおいて構築した医療人類学・社会福祉学専門家との協力関係を元に、人文・社会・自然科学各分野の専門家によって組織される震災支援研究チームの研究分担者となった。建築学や臨床心理など多様な専門分野の知見を参照・共有できる状態となり、多職種連携の観点から自研究をより深く発展させるための基盤整備ができた。 「歴史としての臨床心理学」の付置については、2019年度中に公刊されるはずであった重要文献が2021年度6月の公刊へと延期されており、検討が行えなかった。そのため、研究分担者と関連する文献検討を実施するに留まった。 なお本来想定とは異なる成果として、住まいの重要性に関する疫学的調査の論文(国際誌)が掲載された。本研究で想定した方法論・内容とは異なるが、関連が深く、今期において成果として整理することが望ましかったため論文として執筆し、掲載に至ったものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビュー調査が完了したことで、本来は2019年度の課題であった「地域愛着と価値観の変容と類型」の検討へと移行しつつある状況である。しかしながら新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、定量的(疫学的)調査の目途を立てることが困難な状況であることから、進捗としてはやや遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
縦断的インタビューを基にした支援類型の構成、ならびに仮説生成のプロセスは引き続き実施する。なお新型コロナウイルス感染症の動向を見、適切なタイミングにおいて、疫学的調査への協力依頼を行う予定である。また同感染症の影響がさらに長期化することも念頭に置き、インタビューデータ(質的研究)のみからでも可能な限りの知見提出を目指すとともに、前述の震災支援研究チーム(研究分担者として参画)の一員として定量的調査を行うことも可能となるよう調整を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査スケジュールに変更が生じ、研究代表者および研究分担者の旅費が削減されたことによる。翌年度分(2021年度分)と合わせ、調査に係る旅費・テープ起こし等の費用として用いる計画である。
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