研究課題/領域番号 |
19K03296
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
熊上 崇 和光大学, 現代人間学部, 教授 (40712063)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心理アセスメント / フィードバック / 研修プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は知能検査や心理検査の結果を,被検査者や保護者,支援者に分かりやすくフィードバックの理論と技法、心理職や大学院生への研修プログラムを開発することであるが、2022年2月に、研究成果として書籍「心理検査のフィードバック」(熊上崇・星井純子・熊上藤子編著、図書文化)を出版した。また心理検査の結果を学校や支援者などのチーム支援に活用するための「サポートシート」を用いて心理検査や知能検査の結果を学校側と情報共有できる事例も蓄積されている。 これらの研究成果を元に、2021年度の日本LD学会のシンポジウム「知能検査のフィードバックにおける理論と実践、保護者や子ども本人に伝える時のスキルとは」を開催した。 次に、司法領域の子どもへの心理アセスメントのフィードバックおよびその活用についても研究を行った。少年事件・刑事事件分野では、刑務所や少年院を退所した際に、地域や就労支援にあたって心理アセスメント結果がどのようにフィードバック、活用されているかについて、全国の刑務所および少年院を対象とした調査を行い、その実情と課題について明らかにした。また、家事事件分野においては、家庭裁判所の家事調停で、子どもの心理、意見についてどのように扱うのかを、海外文献や当事者アンケート調査を行った。 本研究では,公認心理師など心理職を目指す大学生,大学院生や現職心理職のための,心理検査のフィードバックに関する研修プログラムを作成した。この研修プログラムは8時間コースで,フィードバックの理念,倫理,報告書作成,フィードバック面接技法,支援チームにおける情報共有,支援体制構築について学ぶものである。この研修プログラムもテキストとして前掲書に記載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィードバックの研修プログラムを作成したので,実際に心理職の現職者および心理職を目指す大学院生、大学生にこの研修プログラムを試行しているところである。具体的には,研修会などでフィードバックに関するスキル,意識,支援チーム会議への活用について学び,模擬フィードバック報告書作成・模擬フィードバック面接,模擬チーム支援会議のロールプレイを通じて,フィードバック技法の習得度の獲得に関する効果検証を行っているところである。 また,司法領域の心理アセスメントのフィードバックについても,調査研究を継続しており,少年院や矯正施設からの退所時に,社会復帰にあたり心理検査や心理アセスメント結果を,社会復帰する際にどのようにフィードバックし,支援に活用するかの矯正施設あての調査を行った。この成果については、2022年度の犯罪心理学会で発表予定である。 さらに、司法領域においては、離婚や面会交流における子どもの心理アセスメント結果をどのように活用するかの研究を行っている。具体的には、家庭裁判所の家事調停を利用した人へのアンケート調査および未成年期に親が離婚した人への面会交流に関する調査を行い、子どもへの心理アセスメント結果をふまえた支援策についても研究しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
心理職や心理検査・心理アセスメントについて学ぶ大学生・大学院生向けに,フィードバック研修プログラムの試行を広く実施し,フィードバックの理念や面接技法,報告書作成などのスキルを身につけることができるか,それにより支援チーム体制が構築できるかについて,フィードバック講座の開催を通じて検証していく予定である。 具体的にはWISC-ⅣやKABC-Ⅱの実施方法を学んだ後に,報告書作成,フィードバック面接,フィードバック支援会議のロールプレイを行う。その後にフィードバックに関する研修プログラムを受講し,再度,報告書作成,フィードバック面接,フィードバック支援会議のロールプレイを行って,フィードバック能力がどのように高まり,支援に活用できたかを検証する。さらに心理検査のフィードバックのテキスト出版を契機に,心理職現職者へのワークショップを開催し,心理職現職者がフィードバックの際に直面している困難を軽減し,被検査者にとって,支援につながり意欲が高まる検査になるように現職者への研修を進めていく。 司法領域における子どもの心理アセスメントについても、子どもへの心理調査結果をどのように家庭裁判所等にフィードバックしていくか、家庭裁判所利用者へのアンケート調査の結果を踏まえて、その手順とアドボケイトの方法についてさらに研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスのため,国内・国際学会が中止もしくはオンライン開催となり,旅費などを使用しなかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。2022年度も学会参加yや、心理アセスメントの研修プログラムの効果測定のための心理検査器具購入などにも充当する予定である。
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