本研究は知能検査や心理検査の結果を,被検査者や保護者,支援者に分かりやすくフィードバックの理論と技法、心理職や大学院生への研修プログラムを開発することである。2022年2月に、研究成果として書籍「心理検査のフィードバック」(熊上崇・星井純子・熊上藤子編著、図書文化)を出版した。出版後1年に5刷となり、多くの児童相談所などの研修で使用されている。 また心理検査の結果を学校や支援者などのチーム支援に活用するための「サポートシート」を含む書籍(熊上崇・星井純子・熊上藤子編著,「子どもの心理検査・知能検査、保護者と先生のための100%活用ブック」(合同出版))を作成し,2020年10月に出版ししている。この書籍やサポートシートを用いて心理検査や知能検査の結果を学校側と情報共有できる事例も蓄積されている。 これらの研究成果を元に、2021年度の日本LD学会のシンポジウム「知能検査のフィードバックにおける理論と実践、保護者や子ども本人に伝える時のスキルとは」、2022年度の日本LD学会シンポジウム「知能検査のフィードバックを学ぶ・身につける」を開催したところ、100人以上の参加者があり、この研究に関する関心の高さがうかがわれた。 また、本研究では,公認心理師など心理職を目指す大学生,大学院生や現職心理職のための,心理検査のフィードバックに関する研修プログラムを作成した。この研修プログラムは8時間コースで,フィードバックの理念,倫理,報告書作成,フィードバック面接技法,支援チームにおける情報共有,支援体制構築について学ぶものである。この研修プログラムの実践記録の一部を「知能検査のフィードバック研修プログラムの実践」として和光大学現代人間学部研究紀要16号に掲載した。
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