研究課題/領域番号 |
19K03297
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
谷 伊織 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 准教授 (10568497)
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研究分担者 |
永田 雅子 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 教授 (20467260)
大嶽 さと子 名古屋女子大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (10611436)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | パーソナリティ特性 / メタ認知 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
初年度は当初の計画に従って、文献研究を実施した。パーソナリティ特性や非認知能力、セルフモニタリング等のメタ認知能力に関する概念定義および測定、発達、メンタルヘルス、適応・不適応行動との関連を扱った研究について、国内外の文献を収集し、レビューを行った。パーソナリティの一般因子モデルなど、Big Fiveモデル以外の異なるモデルに関する文献も収集したため、想定より多くの文献を扱うこととなり、次年度以降にもさらなる研究のレビューや分類・整理が必要となった。 また、これらのレビューを参照しつつ、本研究で扱う変数選択を改めて行うと同時に、国内外における利用可能な心理尺度を検討し、児童と成人を対象とした調査設計を行った。それと同時に二次利用や共同利用が可能なデータについても探索した。 まず、成人を対象とした縦断調査研究については、600人規模のオンライン縦断調査を企画・実行し、1年目のデータを収集した。パーソナリティと精神的健康についての関連についての横断的な分析を行い、次年度の学会発表への準備を進めた。これ以外にも利用可能な1万人規模のweb調査のデータを得て、分析を行った結果、パーソナリティと精神的な健康度や労働状況との関連性を見出すことができた。 次に、児童データについては単一市内の小学生を対象とした質問紙調査を企画し、質問紙の準備を行ったが、感染流行の社会情勢のために実施までには至らなかった。これ以外に、単一市内の小学生高学年9000名程度を対象とした質問紙縦断調査においてパーソナリティ測定のデータが利用可能となり、Big Fiveに基づいた10項目の尺度による測定と外在指標との関連性の分析を探索的に行った。また、小学生を対象としたメタ認知に相当する概念を扱った過去の利用可能なデータを分析し、対人関係との関連性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画にあった文献研究は順調に進めることができたが、範囲を広げたために得られた文献が想定よりも多くなり、レビューや分類の整理には時間がかかっている。測定のための尺度選択と調査設計については当初の予定よりも若干早く進められたが、信頼性や妥当性の検証について不十分な側面もあるため、当初の計画以外に追加の調査項目や変数の収集や分析を検討している。調査については、成人のオンライン調査については予定通りに進めることができたが、児童を対象とした調査については年末から年度末にかけて新型コロナウイルス感染症の感染防止対策のために大きく社会情勢が変化し、企画や準備段階までは進められたが今後の対面による学校調査については遂行が難しくなる可能性がある。共同利用や二次利用可能なデータについても探索し、成人と児童のいずれについても関連する変数を選択したうえで分析を行うことができた。総合的には、おおむね順調に研究を開始することができたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究計画については、概ね順調に進展しており、一部の内容については予定よりも早く進めることができた。一方で、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策のために大きく社会情勢が変化しており、特に今後の対面による学校調査については遂行が難しくなる可能性があると考えられる。調査規模を小さくしたり、オンライン調査をより充実させるという変更もありうると考えられるが、状況に応じて適切に判断を行う予定である。また、測定方法については妥当性を検討のための追加の調査項目についても検討しており、より充実した研究成果が得られることも期待できる。次年度は縦断的なデータの収集と分析を行うことにする。また、研究期間を通して、学会発表や論文発表を随時行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染防止対策のために、参加を予定していた学会が不開催となった。次年度、改めて情報収集や研究推進のために、打ち合わせや学会への参加を必要とするため、そのための予算として次年度使用額が生じた。
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