研究課題/領域番号 |
19K03298
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
渡邉 照美 佛教大学, 教育学部, 准教授 (60441466)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヤングケアラー / 若年ケアラー / 介護 / 世代継承性 / アイデンティティ / 生涯発達 |
研究実績の概要 |
誰もが年齢を重ねていく中で、介護の問題は避けて通れない。未婚化、晩婚化、少子化、経済状況の悪化等の社会状況の変化によって、介護の問題は成人後期以降の問題だけではなく、すべての世代に関係の深いテーマとなっている。 本研究では、10代~30代の青年期・成人前期に家族介護を経験した「若年ケアラー」の介護実態を明らかにした上で、若年で介護をする経験が人生にどのような影響を与えるのかを生涯発達の視点から検討することが目的である。 2019年度においては、①ヤングケアラー・若年ケアラーの概念的整理、②20代の若年ケアラーへの面接調査の2つを実施した。まず①においては、ヤングケアラーに関する文献を収集し、それを論文化した(渡邉,2020)。「ヤングケアラー」というキーワードで論文化されているものはそれほど多くはなかったため、ヤングケアラーとして、障害のあるきょうだいのいるきょうだい(以下、きょうだい児)の研究についてレビューを行った。その結果、緩和ケアを受けているきょうだいのきょうだい児にとっては、ヤングケアラーとして、ケアに参加することの重要性が示された。また、ヤングケアラーはケアする存在であると共にケアされる存在でもあるが、医療関係者や学校関係者がヤングケアラーをケアするための仕組みは十分とは言えないことも明らかになった。生涯発達の視点に立ち、若年ケアラーの語りを分析した結果、若年ケアラーの経験が人生において否定的な意味をもたらすだけではなく、肯定的な意味ももたらす可能性が示された。しかしながら、今回の調査協力者は1名であり、既に若年ケアラーの役割を終えていたため、次年度以降、協力者を増やすことが必要である。また現在ケアラーである人も対象にし、量的にも検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度の研究計画では、Webを介した大規模質問紙調査を行う予定であったが、ヤングケアラー・若年ケアラーの文献検討に時間を要したため、質問紙調査の項目が絞りきれず実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、質問紙調査を実施するための質問紙作成を行っているので、夏までには実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Webを介した大規模な質問紙調査を実施予定であったが、それが実施できなかったため、次年度使用額が生じた。また2020年度にその調査を実施予定なので、その際に使用予定である。
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