研究課題
注意欠如・多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity Disorder: ADHD)は、不注意と多動性・衝動性を主症状とする神経発達障害である。ADHD症状は、反応抑制、タイミング、遅延嫌悪、持続的注意、作業記憶など、様々な神経心理学的特徴で説明されてきた。昨年度までに、「反応抑制」、「作業記憶」、「持続的注意」、「遅延嫌悪」、「時間感覚」、「情動調節」の要素を含むアセスメントバッテリーを作成し、アセスメントバッテリーを成人164名に実施した。分析を行い、作業記憶と持続的注意に関わる指標がADHD症状と関係することを明らかにした。この知見について論文をまとめ、国際誌「Brain and Development」に掲載された。また、ADHDに関する神経心理学的指標について、32件のメタ分析の論文の結果をまとめる包括的レビューを行った。注意を評価する連続遂行課題(Continuous Performance Task: CPT)における見逃しエラー、お手つきエラー、反応時間の標準偏差で、ADHD児とTD児の差に関する有意な効果量が示されていた。しかし、有意な効果量の指標であっても、ADHD児と定型発達児を正確に判別できないと報告されていた。つまり、本研究の仮説である「ADHDは単一の心理学的特徴で説明できないこと」が確認できた。この知見について、論文としてまとめ、国内誌「心理学評論」に掲載された。さらに、ADHDの抑制課題中の脳活動に関する知見をまとめ、ADHDの異種性と抑制課題中の脳活動から考察し、この知見を論文として投稿している。
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Brain and Development
巻: 45 ページ: 49~57
10.1016/j.braindev.2022.08.006
Biological Psychology
巻: 175 ページ: 108431~108431
10.1016/j.biopsycho.2022.108431
心理学評論
巻: 65 ページ: 80~99