研究課題
本研究は、1修正感情体験をターゲットとしたケースフォーミュレーション法の開発、2修正感情体験を効果的に促進する介入法の同定、3その介入の臨床訓練の開発と効果の検討、という3つの柱からなる。本研究の目的は、本年はコロナ禍であるため、対面によるカウンセリングを行うデータ収集作業が困難となった。そのため、これまでに収集してきたデータの分析、その論文化を進めた。上記の目的のうち、特に2と3とかかわる作業を2つの異なる効果・プロセス研究のデータを用いながら進めた。1つはクライエントのインタビューの分析を元に重要な面接場面を同定してセラピストの介入の特徴について抜き出す作業を行った。その一部は、国際大会においてポスターとして発表した。次に、修正感情体験を促進する介入の原則を抜き出し、それらをリストアップする作業を行った。加えて、Deliberate practice(限界学習)の手法を取り入れて、これらの介入法を効果的に訓練するための教材を作成し、それらを用いたスーパービジョンを試験的に行った。修正感情体験におけるポジティブ感情の重要性についてのデータが集まりつつある。また、修正感情体験の促進において関係に焦点を当てる介入の分類も進みつつある。これまでに収集してきたデータを元にした2件の論文がPsychotherapyに掲載された。また、現在2件の論文を投稿準備中である。本研究は、感情に焦点を当てた心理療法について国内では数少ない研究である。今後は、データ収集を再開し、臨床訓練の効果についての調査も加える予定である。
3: やや遅れている
コロナ禍のために対面で行うカウンセリングおよび訓練が難しく、オンライン化を進めている。グループデザインによる分析から系統的事例研究法の援用などを含めて方法の工夫して対応していく予定である。
今後1から3の目的を達成するために研究作業を進めていく。データ収集、分析、論文化を並行して進めていく。本研究では修正感情体験の介入の訓練法を提示することが最終目標であるため、教材、訓練手引きなど、実際的に活用できる資料を整えていく。コロナ感染の現状から、オンラインによる訓練法を開発していくのが現実的と考えられる。オンラインの質問紙やインタビューによる補助的研究も追加することによって、対応したい。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件)
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