研究課題/領域番号 |
19K03311
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
清水 健司 広島国際大学, 健康科学部, 准教授 (60508282)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 強迫傾向 / アクセプタンス / 体験の回避 / 認知的フュージョン / 反すう / 省察 |
研究実績の概要 |
今年度の計画では、強迫症傾向者の精神的健康における増減プロセスを明確にするため、実験的手法による自己教示的対処の効果を検討することが予定されていた。しかし、今年度におけるCOVID-19の影響によって実際の実験参加者を募集すること、また実験施設等の場所の確保、感染対策を施した上での実験手続きを講ずることが困難を極めたため、今年度において、これらについては断念することとした。 そこで今年度においては、既に取得しているパネル調査の分析を深化させることと、COVID-19状況下においてもweb等で調査研究を行うことは十分に遂行可能であるため、当該課題に関連した調査計画の立案に専念することとした。去年度において取得されているデータとは、様々な年代層から450名を調査対象としたパネル調査データを指す。強迫観念傾向(症状リスク要因)と認知的要因(認知的フュージョン)と行動的要因(不安統制、体験の回避、アクセプタンスの各々に該当する測定尺度)が、症状に該当する強迫行為傾向と心身ストレス反応等に、どのように予測するのかを検討するものである。調査の結果、たとえ強迫観念傾向を持つ個人であっても、自分が普段行っている具体的な行動に、どれほどの価値を見出しているのか、またその行動をどれほど継続的に実施できているかが、精神的健康の回復に影響していることが示されていた。これはアクセプタンス的対処によるポジティブな効果を示すものであり、今後においても詳細な検討が求められるものであると考えられる。 また、来年度に向けて当該課題に関連した新たな調査研究計画も、今年度の成果を含めながら策定を進めている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により、今年度に予定されていた実験的検討は見送らざるを得なかったためである。研究進捗にも少なからず影響が出ていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19状況下では実験的手法、介入的手法の実施は難しい面があるが、web等での調査研究を行うことは十分に遂行可能であるため、当該課題に関連した調査研究の遂行を中心として進めてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初予定していたよりも安価に研究が進捗したため、次年度使用額が生じたものである。特に、COVID-19の影響によって予定されていた出張旅費が見込めなかったことも影響している。 (使用計画)次年度は調査研究の充実を予定しているため、様々な経費が必要になる可能性がある。そのため、次年度使用額を令和3年度請求額とあわせて効果的に使用することにより、不測の事態に対応したい。
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