本研究課題は,アナログ研究として強迫傾向を持つ健常者を対象に,不安統制対処とアクセプタンス対処の有効性を比較することを主目的とするものであった。研究を通して,不安統制対処は強迫傾向を低減するのではなく増加する効果を持つことが示唆された。これは,自分を落ち着かせようとする対処が,不安の先送りとしてネガティブに作用している可能性を思わせるものであった。一方,アクセプタンス対処においては,価値ある行動への没頭,マインドフルネスに関連する態度が強迫傾向を低減する効果が見られた。本研究の結果から,強迫症への対応にはアクセプタンス対処が有効であるとの提言が可能なように思われる。
|