研究課題/領域番号 |
19K03313
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
河野 直子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (30583835)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | MCI / 後期高齢者 / 超高齢者 / 神経心理学的検査 / 加齢 |
研究実績の概要 |
本研究では「後期高齢期および超高齢期における病的な認知機能低下とは何か」について、前期高齢期との比較や、認知症の標準的診断基準の限界を検討する視点から探索し、後期高齢期・超高齢期における健康な老いと認知症疾患とを切り分ける上で核となる「心理検査上の特徴」を切り出すことを目指す。そのために令和元年度は、国内外で軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: MCI)検出のために使用されている記憶、視空間認知、言語、注意・実行機能の認知領域別の詳細心理検査について、文献検討や版権等の状況確認を含めた亜版や刺激図版の検討を行い、本研究にて扱う課題・検査の選定を行った。認知機能検査の結果に影響を与える聞こえの問題や見えの問題といった感覚機能の衰えについて、質問紙ないし聞き取りによって評価する方法についても検討を行った。 さらに新型コロナウイルス感染拡大に伴う、次年度以降のデータ収集開始の困難をにらみ、方法・調査課題等について再検討するとともに、既存のデータベースの登録者から65-79歳、70-74歳、75-79歳、80-86歳の年齢層別に候補者を選出した。最終的に、扱い得る具体的な検査項目として、全般的な認知機能スクリーニング検査であるMini-Mental State Examination (MMSE)、Montreal Cognitive Assessment (MoCA)に加えて、Trail Making Test (TMT)-A & B、Clock Drawing Test (CDT)、知的機能の簡易評価(JART)、立方体模写課題、Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status (RBANS)の下位検査項目等を選出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大による実験参加者リクルートの困難をにらみ、データ収集方法・調査課題等について再検討したことによる。
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今後の研究の推進方策 |
軽度認知障害(MCI)検出のために使用される記憶、視空間認知、注意・実行機能の認知領域別の詳細検査について、従来の検査法を用いて75~79歳、80歳~84歳、それ以上(可能な限り高年齢まで)の各年齢層を対象とした健常標準値の確認を行う。65~74歳の前期高齢者群を比較対象とする。この検討段階を通して、感覚障害(見えにくさおよび聞こえにくさ)を有する場合の得点偏倚を検証する。ただし新型コロナウイルス感染拡大を受けて高齢者から新たに面接形式でデータ収集を行う困難を念頭におき、既存のデータベースを活用して行うことができる分析を先行して実施することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末に開催予定であった研究会等の延期・中止が重なったことおよび、次年度の実験参加者リクルートにかかる準備作業を見送ったことを主な理由とする。次年度以降の情報収集・研究報告旅費、オンライン・郵送等の代替手段を用いた調査の費用に充てる。
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