研究課題/領域番号 |
19K03320
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
富岡 光直 九州大学, 医学研究院, 助教 (50380514)
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研究分担者 |
吉原 一文 九州大学, 医学研究院, 講師 (20444854)
須藤 信行 九州大学, 医学研究院, 教授 (60304812)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自律訓練法 / 不眠症 / 自律神経機能 |
研究実績の概要 |
自律訓練法(AT)は緊張を緩和し入眠を促すため,不眠症の治療法として推奨されており,睡眠に対して効果的であることを示す報告は多数存在している。最近の研究では,何らかの慢性疾患に罹患し睡眠障害を合併している患者153名に対してATを実施した報告がある。それまでの研究同様にATが入眠困難の改善に効果があったほか,中途覚醒後のより早い再入眠に効果があったこと,起床時によりリフレッシュし,エネルギッシュな感覚が得られるようになることが示された。しかし,その効果発現メカニズムは詳細に検討されていない。睡眠中の自律神経機能に関して,日昼と夜間で異なり,また睡眠中の前半と後半で大きくその様相を変えることが知られている。本研究では,日昼に比べ夜間で副交感神経優位な状態になっていること,さらに睡眠後半にくり返されるレム睡眠期の不安的な交感神経を安定化させることにATの習得が効果的に作用しているかどうかを検討する。レム睡眠期の不安定な交感神経活動は中途覚醒との関連が指摘されており,先述した研究で示された中途覚醒後の再入眠へのATの効果のメカニズムも明らかにするものである。 研究実施計画では,当該年度のうちに,設備を準備したのち,被験者を募り,データ収集が始まっている予定であった。現在までのところ24時間ホルター心電図の機器を購入し,その操作,データ収集法,データの解析までの手続きに関して確認作業を行ってきた。健常被験者へのAT指導を行い,その前後の自律神経機能を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が自律訓練法の指導及び,24時間ホルター心電図によるデータの収集を行うことになっている。臨床心理士である研究代表者は,共同研究者の指導の下ホルター心電図の使用法の習得を試みているところであり,その手続きに予定外の時間を要したこと,新型コロナウィルス感染症拡大のために被験者の募集が困難であったことで,研究の進行に遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
ホルター心電図による測定に関して,身近なものの協力を得て測定し,感染状況の新型コロナウィルスの感染収束などを考慮し,研究参加者を募る。そうした準備段階の後,対象者の24時間ホルター心電図によるデータの収集,自律訓練の指導(待機軍は指導なし),事後のホルター心電図によるデータ収集を行う。集団指導を5回に分けて行うため,この手続きを5度繰り返す予定である。その後,データ解析,結果の公表を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象者を募集した研究が始まると対象者への謝礼金が生じてくるので,これまでに生じてこ なかった人件費・謝礼金による支出が多く生じてくる。また集まったデータを解析し,途中経過を学会等へ公表することとなる。
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