研究課題/領域番号 |
19K03326
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
加藤 司 東洋大学, 社会学部, 教授 (50408960)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | コーピング / コーピングの柔軟性 / 慢性疾患 / 慢性うつ / 慢性疼痛 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、柔軟なコーピング方略の使用が慢性疼痛によるストレスを緩和し、その結果、慢性疼痛の主観的症状も緩和するという仮説を実証することです。コーピングとは、ストレスに対する対処行動のことです。柔軟なコーピング方略のしようとは、ストレスに対して効果的でなかったコーピング方略の使用を断念し、新たなコーピング方略を使用することで、コーピング方略が効果的であり、ストレスが低減するまで、このサイクルを継続することです。この目的に基づき、令和2年度は、国際誌に4篇の論文を発表しました(いずれもScopusに掲載している雑誌です)。こうした成果が認められ、Cambridge University Pressから出版されることになり、現在は出版社で印刷中です。 具体的には、申請書の計画書に記載した通り、以下のことを実施しました。 ①実験によるアプローチ:12か月後のフロー検査を、6か月後及び12か月後のフロー検査を実施しました。得られた研究結果は、すでに保有しているうつ病患者のデータ(前回採択された研究費によって得たデータ)と比較検証を行っている最中です。 ②縦断的質問紙調査:継続中です。 ③介入研究に向けての予備研究:WHOに提出した研究計画書に沿って、慢性疼痛を患っている人々に訓練を実施しました。最終年度に、これまでの研究成果(うつ病患者の訓練結果、waiting list、cognitive-behavioral therapy)と比較し、慢性疼痛に対する訓練効果を検証します。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の目的を達成するために、申請書に記載した通り、3つのアプローチから研究を実施してきました。 ①実験によるアプローチ:慢性疼痛を患っている人々を対象に、疼痛に起因した慢性ストレス及び疼痛の主観的症状が、柔軟なコーピングによって緩和するという仮説を検証してきました。 ②縦断的質問紙研究:疼痛に対するコーピングの柔軟性の程度が、慢性ストレス及び疼痛の主観的症状の程度を予測できるかどうか検証してきました。 ③介入研究に向けての予備研究:より柔軟なコーピングを用いるための訓練によって、主観的ストレス及び疼痛症状が緩和するかどうか検証してきました。 総合的に見て、研究の進展状況は、申請書に沿ったものであり、申請書に記載した通りの期待される研究成果を上げることができるものです。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は申請した研究の最終年度になります。申請した通りの研究を実施、研究成果を出す予定です。具体的には、以下のことを実施します(申請書に記載した通り)。 ①実験によるアプローチ: 12か月後のフロー検査6か月後及び12か月後のフロー検査を比較検証します。保有しているうつ病患者のデータ(前回採択された研究費によって得たデータ)と比較検証を行います。 ②縦断的質問紙調査:引き続き継続します。 ③介入研究に向けての予備研究:これまでの研究成果(うつ病患者の訓練結果、waiting list、cognitive-behavioral therapy)と比較し、慢性疼痛に対する訓練効果を検証します。
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次年度使用額が生じた理由 |
本基金の目的を鑑み、当該年度で使用するよりも、次年度に使用すべきであると判断したため差額が生じました。具体的には、当該年度に英文校閲に出す論文の査読が遅れ、次年度になったため、当該金額の差額が生じました。
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