研究課題/領域番号 |
19K03327
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 拓 明治学院大学, 心理学部, 教授 (20412306)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 未来 / 思考 / 主観的ウェルビーング / 抑うつ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「望む未来のビジョン」(対象者が望む未来とそこへ向けてのステップをイメージさせ、書き出させる活動)が主観的ウェルビーングの向上、抑うつの減少に与える影響とその要因を明らかにすることである。本年度は、以下のように研究の準備を行った。 まず、望む未来のビジョンを考えさせる介入方法を確定した。先行研究を踏まえて、望む未来のビジョンを多面的に、詳細に、明確に考えてもらうための教示と質問からなる介入方法の原案を作成した。その原案を用いて、大学生を対象とした予備調査を行った。予備調査によって、「他の人が望む未来でなく」「できるだけ色々なことを想像してください」など教示部分で具体的な教示を加えた方が良いこと、望む未来へ向けてのステップを考えてもらうためには、具体的にどのように行うかについても説明させた方が良いことなどが明らかになった。それらをもとに原案を修正し、「望む未来のビジョン」の介入方法を確定した。 次に、対象者が実験室と自宅等での実験実施に用いるためのマニュアルを作成した。本研究では、自宅等で、3日間の介入実施とその後の質問紙への回答を行ってもらう。それら一連の手続きを確実に、そして安全に実施してもらうために、当日の気分のチェックなどの倫理的な配慮も含めた詳細なマニュアルを作成した。作成したマニュアルを用いて予備調査を行い、対象者にとってわかりにくい表現などを修正したうえ、マニュアルを確定させた。 最後に、所属学部および所属大学それぞれの倫理委員会から研究計画の承認を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、望む未来を明確に具体的に考えてもらうための介入方法、つまり教示や質問を作成するために、想定以上に様々な事を考慮しなければならなかったためである。そのため、予備調査を行い、介入方法の確定までに、当初想定していた以上の時間がかかった。 次に、所属大学の倫理委員会の承認をとるためには、所属学部の倫理委員会の承認をとった後に、所属大学の倫理委員会の承認をとるというプロセスが必要であったこと、および所属大学の倫理委員会の承認をえるための時間が想定以上にかかったことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、実験室で対象者と対面して介入を行うことを想定して、その方法で倫理委員会の承認を得ている。しかし、コロナウィルス感染症をめぐる現在の状況において、実験室で対象者と対面して介入を行う方法を実施することは避けなければならない。そのため、現時点では、実験開始日の目処が立っていない。コロナウィルス感染症の感染状況を踏まえて、今後は、研究計画を変更し、オンラインなどでの実施の検討が必要になるかもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は2019年度に実験を開始する予定であったが、実験開始が遅れている。そのため、実験の際に用いるリサーチアシスタントの人件費、対象者の謝礼などが未使用になり、次年度への繰り越し額が増えた。
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