研究課題/領域番号 |
19K03331
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研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
木村 真人 大阪国際大学, その他部局等, 准教授 (60365004)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学生相談 / 大学生 / 援助要請 / 大学教職員 / オンラインカウンセリングの援助要請意図 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,大学の学生相談における必要性の高い課題である「悩みを抱えていながら相談に来ない学生への対応」に取り組むために,大学教職員を対象とした学生相談機関の利用を勧める行動を促進する心理教育プログラムを開発することである。 現在の新型コロナウイルス感染症の影響により,大学の学生相談においても、対面でのカウンセリングに加えて、オンラインでのカウンセリングを提供されるようになった。そのため、大学生の学生相談機関の利用に対する意識について、従来の対面での相談に加えて、オンラインでの相談に対する利用の意識についても明らかにする必要が生じた。 そこで本年度は,大学生の対面およびオンラインのカウンセリングに対する援助要請意図の比較および特徴を明らかにするために、同じテーマの研究者と連携して大学生を対象に調査を行った。分析の結果,オンラインよりも対面によるカウンセリングの援助要請意図の方が得点が有意に高かった。また、過去のカウンセリング経験がある学生の方が、オンライン相談窓口を知っている学生の方が、オンラインのカウンセリングの援助要請意図の得点が有意に高かった。オンラインのカウンセリングの援助要請意図に影響する変数を検討した結果、性別、カウンセリングの利用経験、援助要請態度、セルフスティグマ、ポジティブな結果の予期、悩みの深刻度、精神的健康度、コロナ不安が関連を示した。女性よりも男性の方が、オンラインカウンセリングの相談窓口を認知している方が、オンラインのカウンセリングの援助要請意図が高く、援助要請態度が肯定的なほど、セルフスティグマが高いほど、ポジティブな結果の予期が高いほど、悩みの深刻度が高いほど、精神的健康度が低いほど、コロナ不安が強いほど、援助要請意図が高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍において、大学および学生相談の状況も大きく変化し、それに合わせて、調査内容・方法を見直した。大学生を対象としたオンラインカウンセリングへの援助要請の調査を実施したが、大学教職員を対象とした調査は次年度に見送ったため、上記の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では、大学教職員による学生相談機関の利用を勧める行動の促進として、対面での相談・支援を想定していた。しかしながら、コロナ禍において、学生相談・支援は対面のみならず遠隔による形態も導入され、また大学教職員の学生とのかかわりもコロナ禍以前とは大きく変化している。そこで、当初の研究計画に、コロナ禍による影響も考慮した研究を行う。調査方法についても、遠隔・オンラインを用いたアンケート調査・インタビュー調査を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた、オンラインでのアンケートおよびインタビュー調査を次年度に見送ったため、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて、次年度は、大学生および大学教職員を対象とした、オンラインでのアンケートおよびインタビュー調査のための調査費用を中心として使用する計画である。
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