研究課題/領域番号 |
19K03331
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研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
木村 真人 大阪国際大学, その他部局等, 准教授 (60365004)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大学教職員 / 学生相談機関 / 援助要請 / 学生相談機関の利用の勧め / 大学生 |
研究実績の概要 |
本年度は、プログラム開発に向けた実証的な基礎資料を得るために、2つの質問紙調査を実施しました。1つ目は、大学生の学生相談機関を含めた多様な援助資源に対する援助要請のタイプを明らかにするため、大学生647名を対象にアンケート調査を実施しました。友人、家族、学生相談機関等の援助資源のそれぞれの援助要請意図を尋ね、クラスタ分析を行った結果、大学生の援助要請のタイプとして、1.身近な援助資源志向タイプ,2,専門的な援助資源志向タイプ、3.援助資源非志向タイプ,4.家族志向タイプ、の4つを見出しました。3のタイプの学生は、1と4のタイプの学生と比較して、精神的健康度が低いこと、2と3のタイプの学生は、1と4のタイプの学生と比べて、身近な他者への援助要請に対するスティグマが強いことが明らかとなりました。学生相談機関の利用を勧める際には、個々の学生の援助要請のタイプを踏まえたアプローチが必要であることが示唆されました。 2つ目は、大学教職員が学生に学生相談機関の利用を勧める際のプロセスとその関連要因を明らかにするために、大学教職員338名を対象にアンケート調査を実施しました。うつ病の診断基準を満たす大学生のビネットを提示し、その大学生の状況をどのようにとらえ、どのように考えて行動するか尋ねました。その結果、自分ができる支援をするかどうかの判断においては、職員より教員のほうが、男性より女性のほうが、職務として学生支援の責任を感じているほうが、支援をすると判断していました。学生相談機関の利用を勧めるかどうかの判断においては、学生相談機関の援助の有用性、自分自身の援助の効力感、大学キャンパスの専門的な援助に対する知覚されたスティグマ、専門的な援助に対する態度、メンタルヘルスに関する知識、友人・家族の援助の有用性、性別、自身のカウンセリング経験が関連していました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プログラムの作成に向けた基礎資料を得ることができましたが、今回の調査結果から、利用を勧めるプロセスの関連要因について、学生が抱える問題・悩みによって、その関連要因は共通するのか、それとも異なるのか、大学生および大学教職員を対象とした追加の調査が必要となったためです。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる本年度は、大学生および大学教職員を対象とした調査を実施し、これまでの研究知見に基づくプログラム案を作成します。さらに、今後のプログラムの効果測定を見据えて、その指標となる尺度を作成します。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会大会での研究成果発表として旅費を計上していましたが、オンラインで開催されることとなったため、その分として次年度使用額が生じました。次年度の使用計画は、大学生および大学教職員を対象とした質問紙調査の費用、プログラム作成に必要となる物品費、研究成果公表の費用(学会大会参加、論文掲載費等)を予定しています。
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