研究実績の概要 |
本年度は、今後のプログラム開発に必要となる効果測定の指標として、大学生を対象とした援助要請意図尺度を作成した。大学生版援助要請意図尺度は木村・水野(2004)の大学生を対象とした被援助志向性を測定する質問項目をもとに、8つの悩みについて、3つの援助要請対象(友人・家族・学生相談)に対する援助要請意図を測定する尺度である。尺度の妥当性を検討するために、WEB調査を実施し、第1回目の調査では大学生1824名から得られた回答を分析対象とした。その結果、友人・家族への援助要請意図は、サポート希求・過去の相談経験・援助評価・援助の有効性の評価と有意な正の相関を示した。学生相談への援助要請意図は、セルフスティグマと有意な負の相関、ATSPPHS・過去の相談経験・援助評価・援助の有効性の評価と有意な正の相関を示し、十分な妥当性が確認された。α係数は、友人への援助要請意図が.902、家族が.893、学生相談が.904と十分な信頼性が確認された。次に、再検査信頼性および予測妥当性を確認するために、第1回目の調査に参加した大学生のうち、311名に1か月の期間を開けて、2回目の調査を実施した。その結果、再検査信頼性は、友人への援助要請意図が.758、家族が.771、学生相談が.694であった。予測妥当性を確認するために、1か月間の援助要請行動の有無を目的変数、1回目の援助要請意図と、2回目の調査での1か月間の悩みの経験を説明変数としたロジスティック回帰分析を実施した結果、援助要請意図のオッズ比は友人が2,848、家族が3.052、学生相談が2.161で有意であった。以上の結果より、作成した大学生版援助要請意図尺度は十分な信頼性および妥当性を備えていることが確認できた。介入プログラムの効果測定の指標として活用していきたい。
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