感情教育プログラム「感情の理解と対処の育成」はこれまで複数の小中学校で実施され、一定の科学的評価をあげてきた。しかし、これまでの教育効果検証は、本プログラムが育成する情動焦点型コーピング(emotion-focused coping)の対象となるエクスプリシット感情(Explicit Affect: EA)の意識下にあるインプリシット感情(Implicit Affect: IA)の動きを捉えていない欠点を有していた。また、プログラムの内容についてもより現場が実施しやすい方向への修正が求められていた。そこで、一連の研究ではIAの測定が可能な尺度の標準化作業(研究1)、プログラムの再作成(研究2)、プログラムの再改定(研究3)、そしてEAとIAによるプログラムの効果評価測定(研究4)とフォローアップも含めた検討(研究5)を行う予定とした。 今年度はまず、昨年度は研究5として一部実行ができなかったフォローアップ調査を行った。その結果、プログラム実施した1ヶ月後においても継続した教育効果が確認された。特に、IAにおける持続した効果が認められたことは大きな成果といえる。また、研究6としてモデルプランの提唱を行った。また、昨年度は新型コロナウイルスの影響で断念した国際学会への参加を行った。また、国内の学会において感情をテーマとしたシンポジウムへの参加を行った。さらには別の国内学会においてこれまでの研究成果の一部を発表した。また、紀要論文としても研究成果の一部を公表した。
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