研究課題/領域番号 |
19K03343
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
宮野 秀市 宮崎大学, 安全衛生保健センター, 講師 (00339681)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 消費者教育 / 学生相談 / シリアスゲーム / 悪質商法 / 悪徳商法 |
研究実績の概要 |
2021年度は,悪質商法から身を守るための学習ツールとしてのスマートフォン対応ゲームを制作した。具体的には,ゲームで扱う変数やユーザーインターフェイス,およびゲーム進行のフロー等の基本的なゲームシステムの仕様を決定し,必要なマップやキャクターを作成し,さらに悪質商法を遊びながら学べるように工夫したシナリオを作成し,暫定版のゲームを完成させた。また,そのゲームをインターネット上のサーバーにアップロードし,スマートフォンやタブレット端末でテストプレイして正常に動作することを確認した。 さらに,悪質商法から身を守るための学習ツールとしてのスマートフォン対応ゲームに対する大学生の評価について調査を行った。すなわち,大学生を対象として,悪質商法から身を守るための学習ツールである,市販本,パンフレット,ウェブサイト,スマートフォン対応ゲームのそれぞれについて,どの程度利用したいと思うかについて回答を求めた。さらに,それぞれについてどう思うかを自由記述で回答を求め,そのテキストデータに対して計量テキスト分析を行った。その結果,ブラウザゲームには他の学習ツールにはない「楽しい」,「面白い」という評価がなされたことがわかった。しかしながら,どの程度利用したいかについては、他の学習ツールとの間に有意な得点差は認められなかった。また,この調査研究の成果を日本デジタルゲーム学会第12回年次大会(オンライン開催)にて口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度より,新型コロナウイルスの蔓延よって,大学生のキャンパス内への立ち入りが制限されたり,対面講義が中止となり録画配信講義へ切り替わるなどの影響があった。2021年度になっても,対面講義の人数が制限されたり,一部の期間で対面講義から録画配信講義へ切り替わるなどの影響があった。そのため,予定していた大学生を対象とした調査や実験ができないなど本研究の遂行に支障をきたし計画に遅れが生じたため,研究期間の延長を申請し受理された。しかしながら,申請者はこの状況下でできる限りの研究を遂行し,上記のようにその成果を学会で発表している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は,悪質商法による大学生の被害を未然に防ぐための学習ツールとしてスマートフォン対応のゲームを開発し,その効果を明らかにし,さらに,他の既存の学習ツールと比較した印象を評価することである。 現時点では,このうちスマートフォン対応のゲームの開発はほぼ終了した段階である。ゲームシステムはすでに確定し,暫定版のゲームをインターネット上のサーバにアップロードし,スマートフォンやタブレット端末で正常動作することをテストプレイによって確認済みである。 研究期間の延長が認められた今年度は,そのゲームの効果を確認するための実験や調査を行う予定である。具体的には,大学生30名程度を実験群と統制群にランダムに配置し,悪質商法に関する知識を質問紙を用いて測定する。実験群には,1週間の間に個別にゲームを使用してもらい,その後に悪質商法に関する知識を再度測定し,また,使用感などを測定する。統制群には1週間後に悪質商法に関する知識を再度測定し,その後は実験群と同様の手続きをする。今年度はさらに,他の学習ツールとの比較をおこなう印象評価の調査を実施する予定である。具体的には,講義中の大学生,計200名程度に対して,開発したゲームと,悪質商法の手口や対処方法について記載された書籍,パンフレット,およびウェブサイトの概要をそれぞれ数分間程度プロジェクタを用いて提示し,使用方法などを説明した後,それぞれについて「どの程度やってみたいと思うか」の評価(0点~10点)を求め,また,どのような印象を持ったかについて自由記述での回答を求める。自由記述されたテキストデータに対して,テキストマイニングの手法を用いて,各ツールにおける語の出現頻度の分析や,各ツールと語のコレスポンデンス分析などを行い,それぞれのツールに対する印象評価を数値として客観的に明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度より,新型コロナウイルスの蔓延よって,大学生のキャンパス内への立ち入りが制限されたり,対面講義が中止となり録画配信講義へ切り替わるなどの影響があった。2021年度になっても,対面講義の人数が制限されたり,一部の期間で対面講義から録画配信講義へ切り替わるなどの影響があった。そのため,予定していた大学生を対象とした調査や実験ができないなど本研究の遂行に支障をきたし計画に遅れが生じたため,研究期間の延長を申請し受理された。「次年度使用額(B-A)」欄が「0」より大きくなったのはこのためである。 当該助成金は,研究成果発表のための旅費(例えば,第60回全国大学保健管理研究集会,神奈川),およびパーソナルコンピュータやデータバックアップ用のハードディスク等の必要機材の購入費として使用する予定である。
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