研究課題/領域番号 |
19K03345
|
研究機関 | 医療創生大学 |
研究代表者 |
山本 佳子 医療創生大学, 教養学部, 教授 (90336462)
|
研究分担者 |
大島 典子 医療創生大学, 心理学部, 准教授 (80382802)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 東日本大震災 / 被災 / 子ども / 親子関係 |
研究実績の概要 |
東日本大震災で震災・津波・原発事故による未曽有の被害を受けたが、福島県で育つ子どもたちにとって、特に、原発事故の影響は大きいと考えられる。本研究の目的は、こうした特異な被災状況が子どもの成長に及ぼす影響を明らかにすることである。 対象は、小学校時代に東日本大震災を経験した現在の大学生とした。この年代は、震災について自分の言葉で語れる最も若い世代であると考えられ、彼らの体験を直に聴き取り、子どもへの影響を明らかにすることが、被災した子どもの支援やケアを今後行っていく際に役立つと考えられる。 方法は、インタビュー調査とメンタルヘルスを客観的に把握することを目的としたアンケート調査などを施行した。 現在のところ、パイロットスタディとして16名のインタビューを施行し、分析中であるが、子どもが大震災をどのように捉えるかには親を始めとする周囲の影響が大きいことや、被災後の体験の善し悪しが震災自体の捉え方に影響を与える可能性が示された。また、自らの体験のみでなく、被災状況や復興過程についての学びの体験によっても、彼らの人生観に及ぼす影響は変わるように思われた。また、被災から現在までの生活の中で、震災の体験について意外と周囲と共有できていないことなどが見いだされてきている。 インタビューで把握されたこのような状況がどの程度存在するものなのかという量的な検証や、自分の被災について振り返ったり他者と共有することなく過ごしていることの要因や影響について、今後明らかにしたいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染の収束が見込めない中、当初の計画通りの被験者・支援対象者を呼び、対面によるインタビュー調査を試みたが、今年度の参加者は1名で、以前の計画とおりの研究は困難と判断した。 そのため、対象を中高生からインターネットなどの利用も可能な大学生に変更し、そのために面接の内容も変更を強いられた。調査は、インターネットを利用したアンケート調査や対面・遠隔を利用したインタビュー調査とを組み合わせて施行することにした。
|
今後の研究の推進方策 |
目的は、東日本大震災後の子どもに対する影響を明らかにすることで、変更はないが、対象者が、子どもなりにどのように震災やその後の災害を捉えていたか、そのことについて周囲の人とのどのような語らいで消化することができたのか、それらがどう彼らの人生観に影響しているのかに注目したいと計画している。 特に、今までのインタビューや先行研究で、震災経験を周りと共有できていない人が多いと感じているため、全体の傾向を把握するためのフェイスシートも整えた。 対象者は、小学校時代に東日本大震災を経験した現在の大学生に対して、ネットワークを利用したアンケート調査や対面・遠隔を利用したインタビュー調査とを組み合わせて施行することにした。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の変更に伴い、対象者のエントリーが遅れ、調査施行数が少なかった。 また、インタビュー終了しても反訳が未施行のため研究費の使用にも遅れが生じている。 今後、施行数を増やし、研究遂行予定である。
|