研究課題/領域番号 |
19K03345
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研究機関 | 医療創生大学 |
研究代表者 |
山本 佳子 医療創生大学, 心理学部, 教授 (90336462)
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研究分担者 |
大島 典子 医療創生大学, 心理学部, 准教授 (80382802)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 被災 / 子ども / 親子関係 |
研究実績の概要 |
福島県で育つ子どもたちにとって、東日本大震災時の原発事故の影響は大きいものがあると考えられる。これらの災害は人類史上経験のない災害であるため、この特異な被災状況が子どもと家族に及ぼす影響を明らかにすることが本研究の目的である。 今回は、記憶や言語化が可能な最少年齢として、小学校低学年時に被災体験をした子どもたちを対象にした。彼らの被災状況・保護者との関係・震災後の教育や震災の影響についてと、メンタルヘルスの状態やレジリエンシーについて227名にアンケート調査を行った。また承諾が得られた被験者にはインタビュー調査として、震災をどう体験し、その後どのような生活であり、震災についての感情がどのように起こり処理されたかを尋ねた。 まだ充分な解析は行っていないが、一部のアンケート結果については研究協力者の脇本(2022)が、物理的被災体験群の震災の影響の認識は、資質的レジリエンス要因の一つである楽観姓と弱い正の相関(r=0.23)があったことや、子どもから見た保護者は普段と変わりないように見えているにもかかわらず、保護者への何らかの配慮をしていた子どもが半数近く居たことなどを指摘している。 インタビュー結果についての分析もまだではあるが、被災状況の捉え方は客観的家屋などの被害程度よりも、子ども本人の直接見聞きし体験したことに基づくことやその後の環境変化にどう適応できるかが大きく影響するように思われた。また、被災現場の放映視聴状況や原発事故後の環境変化についての説明の有無が、被災状況の捉え方に与える影響が大きいように思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
元々震災直後から被験者として見守りつつ心理的変化などを聞いてきたグループがいたが、コロナ禍で、学外者との対面接触が制限されていたので、学生の中で協力を募り、授業担当などの利益相反がないように留意し、インタビューデータを収集した。被災状況が様々であったため、有効な数を集めるために時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
アンケートデータ・インタビューデータの収集は終わり、これから分析に入る。 ただ、被災体験のないケースも含まれているので、内容を吟味し、必要に応じて追加する場合も考えられる。 インタビューの追加は、以前コロナ禍であることも考え、慎重に感染予防対策を行いながら施行したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査・インタビュー調査共にデータ収集・分析が遅れている。 特にインタビューデータは、反訳・解析ソフトが必要であり、そのための費用が未だ支出されていない。 また、発表のための費用が今後かかることが考えられる。
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