研究課題/領域番号 |
19K03347
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
勝谷 紀子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (90598658)
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研究分担者 |
佐野 智子 城西国際大学, 福祉総合学部, 教授 (50348455)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 難聴 / 聴覚障害 / 偏見 / 差別 |
研究実績の概要 |
本研究は、聴覚障害者への偏見の実態を明らかにして、偏見に関わる要因について検討し、聴覚障害者への偏見を減らすための介入実践を行うことを目的としている。まず、日本における聴覚障害者への偏見の実態を当事者への調査やメディアでの聴覚障害者の描かれ方の特徴から検討する。そして、聴覚障害者への偏見を左右する要因として、他者からスティグマをはられるのではないかという懸念であるスティグマ意識と、不確実性、つまりコミュニケーションの際の相手の感情や態度などに対する不確実性という2つの要因を取り上げて、調査および実験的にその効果を検討した。 今年度は、日本において聴覚障害者に対する態度と関わりを持つと考えられるメディアでの描かれ方を調べた。具体的には、聴覚障害者が登場する漫画作品でどのような人物として描かれているかを内容を整理して、その特徴を明らかにしようとした。 また、スティグマ意識と態度との関連について調べるため、本年度は健聴の調査対象者にたいしてオンライン経由での調査を行った。障害におけるスティグマ意識の検討をする前に海外のオリジナル版尺度である性別のスティグマ意識尺度を用いて、性別に関するスティグマ意識について健聴者データで予備的に検討をした。今後難聴の調査対象者のデータを収集して、健聴の調査対象者の結果と比較検討する予定である。 さらに、コミュニケーションにおける不確実性について調べるため、先行研究を参考にオンラインでのシナリオ実験で検討した。コミュニケーションの困難に関わる架空のシナリオを調査協力者に読んでもらい、その状況におかれた場合のシナリオでの登場人物への認知を尋ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度は先行研究の知見や実験・調査の結果に基づき聴覚障害者への偏見を減らすための介入実践を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大対策のため実験・調査の実施が困難となり、そのため対面での実施を想定していた介入実践も実施が困難な状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究機関を1年延長した上で研究計画に記載されたとおりに研究課題を遂行する。具体的には、1年次に予定していた聴覚障害者のメディアでの描かれ方の検討について、前年度検討した漫画の他に絵本も検討する予定である。また、2年次に予定していたスティグマ意識やコミュニケーションに関する不確実性の実験・調査を引き続き行う。先行研究の知見とこれらの研究成果にもとづき、最終年度に予定していた聴覚障害者に対する偏見を減らすための介入実践を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
「次年度使用額(B-A)」が0よりも大きくなっているのは、研究の遂行が予定よりも遅れていることと、研究期間を1年延長することにしたために次年度に遂行する予定の研究に必要な額を確保したことによる。
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