研究課題/領域番号 |
19K03353
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
空間 美智子 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (00623406)
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研究分担者 |
伊藤 正人 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 名誉教授 (70106334)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 社会性 / 衝動性 / 報酬の価値割引 / ASD児 |
研究実績の概要 |
本研究では、ASDの社会的コミュニケーションの困難の背景にある要因について、報酬の価値割引の枠組み、特に利己性(利他性)を表す社会割引と、衝動性(セルフコントロール)を表す遅延割引に焦点を当てて、割引率という定量的測度を用いて検討する。さらに、ASD児の社会性のアセスメントツールとしての適用可能性を検討することを目的とする。 2019年度から2020年度は、研究1として、定型発達児(6歳から12歳)を対象とした調査の実施を計画していた。2019年度は、これまでに行っていた予備的な研究の結果を再分析し、社会割引と遅延割引を測定するための報酬量や割引要因の条件、また、ジレンマ質問紙で使用する報酬量や他者の属性の条件について検討を進めた。これまでの研究結果を詳細に分析したところ、年齢が上がるにつれて、遅延割引率は低くなること(衝動性が低下すること)や社会割引率も低くなること(利他的になること)が明らかになった。また、新たに開発した小学生用のジレンマ課題質問紙を用いて、報酬の独占と他者との共有との間の選択を行わせたところ、報酬の独占選択(利己的選択)を行う子どもの割合は、年齢が上がるにつれて低下することが明らかになった。ただし、特に6歳児においては、条件を呈示する順序が割引率に影響を与えることや、教示の理解が困難な子どもへの対応が必要になることが課題として挙げられた。以上の結果をもとに、2020年度から2021年度には、引き続き、定型発達児を対象とした研究(研究1)を実施し、ASD児を対象とした研究(研究2)の具体的な方法を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大防止を踏まえた一斉臨時休業により、研究協力先の小学校が休校となったため、小学校での調査の実施は延期されている。また、研究協力先の医療機関との打ち合わせも中断している。
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今後の研究の推進方策 |
小学校や医療機関での研究活動が可能になれば、速やかに再開できるよう、引き続き研究協力先の小学校や医療機関と情報共有を図り、準備を進めておく。同時に、集団ではなく少人数で個別にデータを収集することや、質問紙ではなく実験的手法を用いるなど、当初の計画とは異なる方法でデータを収集する可能性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止を踏まえた一斉臨時休業により、2019年度に予定していた小学校での調査が延期された。調査実施に必要な物品費、人件費、および謝金を支出しなかったため、次年度使用が生じた。2020年度は、小学校や医療機関での研究活動が可能になり次第、2019年度に予定していた小学校での調査と、医療機関での実験の実施を予定している。2020年度分として請求した助成金と合わせて、これらの調査と実験の実施のために使用する。
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