研究課題/領域番号 |
19K03357
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研究機関 | 芦屋大学 |
研究代表者 |
林 知代 芦屋大学, 臨床教育学部, 教授 (00512641)
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研究分担者 |
小野田 淳人 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 助教 (70835389)
油井 邦雄 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90101352)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 感覚の過敏性 / 対人関係の機能不全 / シナプス機能損傷指標 / ナノ粒子 / 酸化ストレス/総抗酸化脳の指標比 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、自閉スペクトラム症(ASD)の発現要因がナノ粒子と関与しているのではないかという仮説を明らかにすることである。まず、自閉スペクトラム症と健常者に対して心理学的検査(WISC・WAIS知能テスト、ASQ自閉スペクトラム指数、SP感覚プロファイル、AD・HD・AS・LD発達障害重複テスト、ADI-R)によるテストバッテリーを組み実施した。前々年度と前年度の被験者である、健常者と自閉スペクトラム症者両者の違いを明らかにした。また自閉スペクトラム症(ASD)の感覚感受性レベルと社会性障害をはじめとする自閉スペクトラム症の傾向レベルとの関連を精査し考察、論文にまとめた。結果の特徴としては自閉症スペクトラム症症例と健常者の知能の偏りの差よりも、感覚の感受性、対人関係の機能不全の差が著しい事が判明した。次に血液と尿を採取しそれぞれのシナプス機能損傷指標(血清GFAP濃度)と酸化ストレス/総抗酸化脳の指標比の関連を調べることにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
必要例は、各評価尺度の差の平均を50±40とし、前後の母平均に差がないという帰無仮説を両側優位水準5%で棄却するには14例以上という前提で、当初健常者と自閉スペクトラム症の被験者を1年に其々15例で実施すべく始めた。しかし、自閉スペクトラム症被験者の状態や都合で予定していた事例数に満たず、現在自閉スペクトラム症者7名、健常者6名例にとどまっている。ただ少数例においても検査結果として健常者とスペクトラム症の明らかな感覚感受性の違いが示された。これらの結果は経過発表として研究報告を芦屋論叢第75号に掲載予定である。本研究では、ナノ粒子と自閉スペクトラム症の認知機能との関連性に注目しているので、ナプス機能損傷指標(血清GFAP濃度)と酸化ストレス/総抗酸化脳の指標の検査結果を待って、この関連を雄検証したい。コロナ禍のため、解析の必要な症例が不足すているので、感染の小康を待ってASD3-6例と正常対照者5例での検索を予定中である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度予定の被験者が、コロナ禍の影響で協力者が得られなかったため、研究が遅れているのが現状である。本年度は健常者と自閉スペクトラム症者への研究協力者の予定人数を目指して募る予定にしている。協力が得られ次第、早急に検査並びに血液と尿の分析を実施する予定である。関係学会に参加し、他の研究者の発表等から示唆を得ることと並行し、示された結果を精査・分析・考察し学会発表したり、論文としてまとめたり、更に何らかの形で印刷物にする方向で考えている。血清GFAP濃度を脳損傷の急性期と慢性期で比較検討することも本研究の目的である。今後、病態活動期の5-18歳の若年層の被験者数を増やすべく、血清GFAP濃度と酸化ストレス/総抗酸化能の人の関連を明らかにしていくつもりである。血清GFAP濃度と酸化ストレス/総抗酸化脳の指標の測定は最低でも20例の検体を要するので、鋭意症例を募集する。そのために。発達障害支援センターで支援を受けている自閉症スペクトラム症の方々の参加を計っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で研究に協力してもらえる被験者の人数が予定より極端に減少したため、検査に係る費用が未使用となった。 また、コロナ禍で学会の形態が変更し、対応に間に合わなかったため、参加を見送ったり現地への交通費等が、予定と異なったため。 被験者募集の方法について検討すべく、安全性に対する対応を整え協力者を募る予定である。 学会発表については、Zoomなど機器操作を習得し参加に向けて考えている。
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