研究実績の概要 |
コロナ期間が明け、被験者への依頼がようやく順調に進んだ。2022年度には科研費課題のアストロサイトのタンパクのglial fibrillary acidic protein (GFAP)の濃度の測定を自閉症スペクトラム症27例と正常群11例、計36例で測定し、ASD例で有意にこのナノ粒子の血清濃度の値が高いことを発見した。この知見はASDの部位応答性の原因と関係があると考えられる。きわめて重要な発見であり、内外の研究者の注目を浴びる可能性が高い。今後はこのGFAP値とASDのAberrant Behavior Checklist, Social Responsiveness Scale, 認知機能検査の知見と照らして、どの症状に最も関与するか検討し、詳細をまとめている。また発展的研究として自閉スペクトラムの検査で得た結果をもとに、知的能力による違いについて精査し、特性として存在する偏りのある発達特性や没頭、知的偏り、コミュニケーションの困難などに質的違いがあることから、自閉スペクトラムの特性を持ったギフティッドについて注目し研究の集大成として本の出版をした。欧米ではギフティッドといわれるなかに自閉スペクトラム特性を持つものが存在することはギフティッドASとして周知されているが我が国では、彼らに焦点を当てた研究はこれからの課題でもある。漸増中のASDの発現予防策をアストロサイトのタンパクのglial fibrillary acidic protein (GFAP)の濃度の測定結果から社会に提供すことの意義は、当人の自己同一化の混乱を予防することでもあり、潜在能力が社会に還元できる可能性を提示できる可能性があるともいえる。
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