研究課題/領域番号 |
19K03362
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研究機関 | 九州ルーテル学院大学 |
研究代表者 |
有村 達之 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 教授 (80264000)
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研究分担者 |
田代 雅文 熊本大学, 病院, 講師 (60264305)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 慢性痛 / RCT / 介入研究 / エビデンスに基づいた臨床心理学 / 認知行動療法 / マインドフルネス / ランダム化比較試験 |
研究実績の概要 |
本研究はわが国の慢性痛患者に対するマインドフルネストレーニングの介入効果についてランダム化比較試験(RCT)によるエビデンスを得るのが目的である。 いくつかのプライマリーエンドポイント(主要評価項目)を設定し、専用ソフトのG*powerを用いて両側検定で有意な介入効果を検出するのに必要なサンプルサイズ計算を行った。本研究の主要評価項目は痛みによる生活障害、あるいはQOLとした。すでにわれわれはパイロット研究で主要評価項目の改善量データを得ており、サンプルサイズ計算にはそれらを用いた。また、サンプルサイズ推定には、コントロール群(通常の薬物療法)での主要評価項目の変化量データが必要である。それには類似の研究のデータを参考とした。 主要評価項目を痛みによる生活障害としてPDASまたはBPIの質問紙によって評価した場合、PDASを主要評価項目として腰痛に対する局所注射(井上ら,2008)をコントロール群と仮定すると介入の効果量は0.30でサンプルサイズは186名であった。BPIを主要評価項目として慢性痛に対する通常ケア(Kroenke et al.,2014; Schmid et al.,2019)をコントロール群と仮定すると、介入の効果量は0.79-0.91で、サンプルサイズは40-52名であった。主要評価項目をQOLとしてSF12質問紙のPCS(身体的側面のQOL)、MCS(精神的側面のQOL)で評価した場合、慢性痛に対する通常ケアをコントロール群(Kroenke et al.,2014)と仮定すると、介入の効果量はPCS、MCSそれぞれについて、0.47と0.36、サンプルサイズは244名および102名となった。 QOLを主要評価項目とした場合、サンプルサイズが非常に大きくなることが想定され、痛みによる生活障害を主要評価項目とするのが適切と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、主任研究者と分担研究者が2名で同一施設で研究を実施する予定であったが、通常の薬物療法を担当する分担研究者の転勤により研究計画の変更が必要になったため。また、当初集団療法で介入を計画していたが、個人療法による介入が適切とも考えられる状況になってきたこともあり、研究内容の手直しが必要となっている。
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今後の研究の推進方策 |
分担研究者の転勤先の勤務施設での研究実施可能性の検討、現在の研究実施施設での研究対象者についての通常治療(薬物療法)担当者について検討することが必要で、現在、それらの調整中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者の転勤により研究計画に遅れが出たため、研究対象者のリクルートが始まっていれば使用していたはずの中央割り付けにかかる費用が2019年度に発生せず、次年度以降に繰り越しになっているため。
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