研究課題/領域番号 |
19K03364
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
佐久間 尚子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70152163)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢者 / 住民調査 / 認知機能 / 生活機能 / 縦断研究 |
研究実績の概要 |
今年度予定していた「大都市に暮らす高齢者の健康と生活実態に関する縦断調査」の会場招聘型による対面式の面接調査は、新型コロナウィルス感染症の拡大を受けて見送られた。このため今年度は、昨年度までに行った既存資料のさらなる統計分析と学術雑誌への投稿を主に進めた。 本研究の母体となる平成28年度の70歳以上高齢者を対象とする「大都市在住高齢者の健康・生活実態調査」の資料を基に、会場調査参加者と会場を希望しない訪問調査参加者の差異を分析した。昨年度の分析では、様々な調査項目において両群の差異が見出された。今年度は、それらの中で何が両群の差異を特徴づける項目となるのか、その代表項目を検討するため、多変量分析を行った。その結果、属性や心理社会変数では、「教育年数,当日収縮期血圧,精神的健康尺度(GDS-15),認知機能検査(MMSE-J),現在の仕事」の6項目が抽出され、既往歴では、「手術,悪性腫瘍,骨折,脊柱管狭窄症,前立腺疾患」の5項目が抽出された。また,生活機能の21項目(DASC-21)では、「日付を忘れない,バス電車等で外出できる,電話をかける,服薬管理,室内移動」の5項目が抽出された。一方、これらの抽出項目による説明率は、会場調査参加者群では93%だったのに対し、訪問調査参加者群では35%と低く、今回抽出された項目では訪問調査参加者群の特徴を十分説明することができなかった。地域で暮らす高齢者の生活能力には個人差があり、この個人差を反映する生活項目を選定するためには、今回とは別の視点による多角的な分析が必要であることが示唆された。これらの研究成果を英文誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は,会場招聘型の住民調査を実施して、縦断データを得る予定であった。しかし、新型コロナウィルス感染症の拡大を受けて会場調査は見送られ、縦断データは収集できなかった。このため、本研究の主要データである縦断データの取集は次年度に持ち越された。
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今後の研究の推進方策 |
今年度見送られた「大都市に暮らす高齢者の健康と生活実態の縦断調査」は、研究所主体の大規模調査であり、新型コロナウィルス感染症の拡大状況を見て、現在も実施の可能性が検討されている。調査が計画された時点で参加できるよう、準備を整えておく。延期の場合は、次年度への延長も検討する。 それまでの間は、既存データの多角的分析を進め、成果を英文誌に投稿する。候補として、健常加齢で早期に低下しやすい実行機能の検査(TMT)得点を用いた視点からの分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、予定していた会場招聘型の住民調査が、新型コロナウィルス感染症の拡大を受けて見送られた。このため、調査費用として予定していた人件費・謝金は使用しなかった。また、内外の学術会議もweb開催となり、旅費の支出もなかった。 会場招聘型の住民調査は、新型コロナウィルスの拡大状況を踏まえて、次年度実施される予定である。人件費・謝金の余剰金はその経費に充てる。また、旅費の余剰金は英文誌の投稿費用等に充当する予定である。
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