研究課題/領域番号 |
19K03370
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
板橋 貴史 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (70636943)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発達障害 / 自閉スペクトラム症 / 注意欠如・多動症 / 認知機能 / fMRI |
研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)および注意欠如・多動症(ADHD)は異なる症状によって特徴づけられる発達障害である。両者は異なる疾患であると考えられてきたが、併存率の高さ、共通した神経基盤異常などの知見から、両疾患は連続体である可能性が示唆されている。しかし、先行研究の多くは臨床診断に基づいた群比較であり、両者を連続体として検証した報告は殆どない。本研究課題の目的は、ASDおよびADHDを発達障害という大枠で俯瞰し、連続性・サブタイプの有無を脳機能ネットワーク、認知機能および症状レベルで検討することである。 当該年度は前年度に引き続き、行動課題データの追加収集およびfMRI実験開始の予定であった。追加して収集したデータを含めて解析を行なった結果、ASD・ADHD当事者では注意制御などの成績において、対照群よりも低い成績を示すことが明らかになった。一方、表情認知などについては、成績の高い群と低い群の2群にわかれることが明らかになった。 行動課題から得られた結果に基づいて、fMRI課題の策定を行なった。fMRI実験の実行可能性、負荷の確認、および認知機能と脳機能ネットワークの関連性を明らかにするため、健康成人を対象としたデータ収集を第一段階として実施した。健康成人を対象としたMRIデータ解析によって、デフォルトモードネットワークにおける安静時機能的結合が持続的注意の成績と相関し、その関係性は日を跨いでも保持されることや、機能的結合の変化分と持続的注意の成績の変動が相関すること等を明らかにした。これらの結果は、第45回 日本神経科学大会にて発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響および当該施設が病院内にあることから、研究リクルート、実施が困難であったため、データ取得などの点において遅れが生じている
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今後の研究の推進方策 |
健康成人での妥当性を確認次第、発達障害当事者を対象としたデータ収集を行い、サブタイピングなどを行う。また、すでに得ている行動検査結果および健康成人を対象としたfMRIデータについては、必要な解析を行い、順次論文化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響に伴い、fMRI実験データ収集などが遅れており、その結果として金額の余りが生じた。次年度に延長することにより、データ収集および論文化を行う。
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