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2023 年度 実施状況報告書

司法面接における開示への動機づけを高める要因の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K03376
研究機関摂南大学

研究代表者

田中 晶子  摂南大学, 現代社会学部, 教授 (10369689)

研究分担者 仲 真紀子  立命館大学, OIC総合研究機構, 教授 (00172255)
安田 裕子  立命館大学, 総合心理学部, 教授 (20437180)
上宮 愛  金沢大学, 人間科学系, 講師 (50555232)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワード司法面接 / 動機づけ / ラポール形成 / 多機関連携 / 児童虐待
研究実績の概要

本研究は,司法面接において非開示が生じるケースについて,動機づけの観点から話さない(動機付けが低い)子どもと話せない(動機付けはあるが話すことができない)子どもに分けてとらえ,それぞれの子どものありように即した働きかけを検討することを目的とし,次の3項目について検討している。具体的には,動機づけの低い(話さない)被面接者を開示へ動機づける観点から,面接内でのラポール形成が開示へ及ぼす影響についてRP版NICHDプロトコルを用いた模擬面接事例を用いて検証する(研究1)。次に,面接前のサポーティブな働きかけが,面接内での子どもの開示に及ぼす影響について探索的に検証する(研究2)。また,動機づけは高いが被害の報告ができない(話せない)子どもについて,非開示が生じる要因について検討する(研究3)。
今年度は,研究1に関して,今年度改正・施行された司法面接の録音録画記録を裁判で証拠(主尋問の代替)として用いることを可能とする改正刑事訴訟法をふまえ,「供述者の不安又は緊張を緩和する」措置について検討するとともに,引き続き,面接者の親近性や社会的サポートの効果に関して収集した文献をまとめレビュー論文の執筆を進めた。また,警察官を対象としたRP版プロトコルの効果を検討するための調査データのうち,録音データのコーディング作業を行った。
研究2に関しては,子ども(のみならず被害者)が開示に至らない理由を先行研究に基づき考察し、周囲の気づきやサポート,信頼できる人に対する事前の開示の重要性を指摘した。また,研究3に関しては,先述の法改正を受け,現在の国内での被害者支援の在り方に関して,被害者支援領域の専門家との勉強会を実施し「供述者の不安又は緊張を緩和する」措置について現状把握と知見の収集を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでの研究期間を通して,収集した研究知見をまとめた書籍や翻訳書の出版,被害者支援を専門とする研究者とのワークショップ報告における知見の収集と発信,オンライン講座による司法関係者への知見の提供を実施することで成果を発信した。また,今年度改正・施行がなされた刑事訴訟法(第321条3)についても情報収集を進め,「供述者の不安又は緊張を緩和する」措置のひとつとして,心理療法と司法面接との連携の在り方について検討する必要があることを確認した。
やや遅れている点としては,話したがらないこと(非開示)につながる要因は特定できたものの,そういった要因が軽減されるように働きかければ,子どもは話すようになるのか,という検討である。また,研究1における調査結果の分析は時間を要し,結果をまとめて公表するまでにはいたらなかった。

今後の研究の推進方策

再度の延長申請を行った2024年度は,研究1について,既に収集した警察官を対象としたRP版プロトコルの効果を検討するための調査データのうち,録画データのコーディング作業を進め,分析結果について学会での発表を目指す。また執筆中のレビュー論文を投稿するとともに,法改正によって焦点をあてる必要がある「供述者の不安又は緊張を緩和する」措置について,心理療法と司法面接との連携についてさらに検討を進める。具体的には,心理療法に関する研修や勉強会への参加を予定している。そして,最終目標としているガイドライン(草案)作成につながるよう,研究知見のまとめにあたる予定である。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の予算において未使用額が生じた理由は,研究1の進捗の遅れによるものである。今年度の使用計画は,①研究1における分析や成果報告にかかる費用や学会等への参加旅費,②研究2,3における心理療法の知見に関わる研修会への参加費や資料収集費,勉強会等(研究知見の提供や発信)における研究者・実務家への旅費・謝金において執行する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 〈潜在化している被害者〉の声を聞き取る ─ 司法面接の取組み─2024

    • 著者名/発表者名
      仲真紀子
    • 雑誌名

      被害者学研究

      巻: 33 ページ: 83-92

  • [雑誌論文] 被害者からの聴取:刑事訴訟法大321条の3(新設)と司法面接2023

    • 著者名/発表者名
      仲真紀子
    • 雑誌名

      罪と罰

      巻: 60(4) ページ: 16-28

  • [雑誌論文] 録音録画による主尋問と反対尋問:英国の特別措置から2023

    • 著者名/発表者名
      仲真紀子
    • 雑誌名

      刑事弁護

      巻: 115 ページ: 50-55

  • [雑誌論文] Forensic interviews conducted with autistic adults in Japan: A review of the literature and directions for future research.2023

    • 著者名/発表者名
      Walsh, D., Brooks, G., Naka, M., Oxburgh, G., & Kyo, A.
    • 雑誌名

      Psychiatry, Psychology and law

      巻: 0(0) ページ: 1-19

    • DOI

      10.1080/13218719.2023.2192255

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 法と心理学会第23回大会 性暴力・ジェンダー暴力連続体と治療的司法.2023

    • 著者名/発表者名
      中村正・安田裕子・藤澤陽子・宮﨑浩一・山口修平・後藤弘子
    • 雑誌名

      法と心理

      巻: 23(1) ページ: 27-33

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 〈潜在化している被害者〉の声を聞き取る―司法面接の取組み2023

    • 著者名/発表者名
      仲真紀子
    • 学会等名
      日本被害者学会第 33 回学術大会 シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 司法面接証拠化について ―今後の課題と展望―2023

    • 著者名/発表者名
      羽渕由子・田中晶子・仲真紀子・緑大輔・木田秋津
    • 学会等名
      法と心理学会第24回大会 公募ワークショップ
  • [学会発表] ハイリスク・ストーカーへの法と臨床―新たな視点の展開2023

    • 著者名/発表者名
      廣井亮一・城下裕二・後藤弘子・丸山泰弘・中村正・安田裕子・指宿信.
    • 学会等名
      日本犯罪心理学会第61回大会公募シンポジウム
  • [図書] 教育相談【第2版】2024

    • 著者名/発表者名
      森田 健宏 , 吉田 佐治子, 上松幸一,大西彩子,川島大輔,定金浩一,篠原郁子,杉山陽香,田爪宏二,田中晶子,林茂樹,
    • 総ページ数
      238
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623096114

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公開日: 2024-12-25  

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