研究課題
協調行動は裏切りがあると成り立たない。だからこそ我々は裏切りに厳しい。だが、邪な意図を巧みに隠蔽するものがおり、裏切り行為は無くならない。本研究では裏切りの隠蔽と検出に関する申請者の研究から生じた「裏切りシグナルの隠蔽やその検出は無意識的な過程か、それとも意識的か?」という疑問を検討する。刻一刻と変化するコニュニケーションにおいて、裏切のシグナルを隠蔽し、それをかい潜り検出することは、共に時間的にも資源的にも負担が掛かる。その負担を考慮すると、これらの処理は無意識的・自動的に行われると考えられる。この仮説を検討するため、信頼ゲームという金銭をやりとりするゲームにおける裏切りと協調に着目した。この研究は2020年にはじまったコロナウイルス感染症の感性拡大の影響を直接受けた。研究の実施には困難が山積であった。実験心理学のデータは基本的に対面形式での実験で取得される。いわゆるコロナ禍にあって対面で実験を行うのは極めて困難であった。特に2020年度はほぼ全く実験を実施できなかった。対面での実験そのものは2020年度の終わりからは細心の注意を払った感染対策のもと実施は可能になった。しかし、これまでの実験での主たる協力者だった学生がキャンパスにおらず、対人での実験に消極的だった。実験を使用にも協力者がいなかった。このような困難にもかかわらず、本研究では、既存の画像データを用いたり、オンラインでの実験に切り替えたりして、対人実験の実施が難しい期間においても代替手段を用い研究を進めた。研究計画は、実施方法の面において、かなりの変更を余儀なくされた。それでも裏切り意図の隠蔽や検出の意識レベルについて、国際的な論文誌に複数の論文を発表できるなど十分な成果をあげることができた。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 6件) 備考 (1件)
i-Perception
巻: 15 ページ: 1-9
10.1177/20416695241238692
Quarterly Journal of Experimental Psychology
巻: 77 ページ: 1-13
10.1177/17470218241232981
Laterality
巻: 28 ページ: 357~376
10.1080/1357650x.2023.2250075
巻: 76 ページ: 1-13
10.1177/17470218231203187
http://www3.psy.senshu-u.ac.jp/~mokubo/