κを正の実数とする。正整数nに対し、dはnの約数全体を走るものとしたとき、d^κを足し合わせた和(以下、これを約数和ということにする)を考える。本研究の目的の一つは、この約数和の上極限に関する性質とリーマンゼータ関数の零点分布の関係を調べることである。約数和の上極限に関する性質を調べる際、約数和を大きくするnの列を考えることが重要であるが、その候補として優高次合成数と呼ばれる概念の一般化が挙げられる。正の実数のパラメータを一つ決めると、いくつかの一般化優高次合成数が定まる。 今年度の研究では、正のパラメータを一つ定めた時、そのパラメータに付随する優高次合成数の個数について研究を行った。具体的には、κを正の有理数とするとき、一つのパラメータに対する一般化優高次合成数は1、2または4個であることが分かった。さらに、4指数予想と呼ばれる超越数論の予想が正しいと仮定すると、1または2個であることが分かった。一方、この性質はκが有理数であることが本質的であり、ある実数κに対しては、一つのパラメータに対する一般化優高次合成数が4個になる場合があることが分かった。 一方、約数和に期待される上極限の性質からゼータ関数の零点分布を導出するのは想定していたよりも難しい問題であることが判明した。これは、x以下の素数を走る部分オイラー積でxを無限大に飛ばしたときの挙動、特にオメガ評価を調べる際、xを特殊な列に限定して解析しなくてはいけないことに起因するものである。研究当初の想定よりも時間がかかっており、現状ではこの方向の研究についてはまとまった結果を得られていない。
|