研究実績の概要 |
本研究課題『有限群の線形表現と森ファイバー空間内の有限群に関する同変シリンダーの存在性』を通して,当初の想定よりも多方面の研究プロジェクトに発展・進展をした.4年間の研究機関と通じて,得られた研究結果は大まかに見出しを付けるとすれば:「(1) 森ファイバー空間にアフィン空間を埋め込む系統的な方法の開発」,「(2)代数閉体とは限らない標数ゼロの体の上に定義されたFano多様体とフォームと分類と,シリンダーの存在性」となる.(1)については,Adrien Dubouloz, Karol Palkaとの共同研究によるものであり,この研究以前は,底空間が正の次元の森ファイバー空間にアフィン空間を埋め込むには,非常に簡単な例しか知られていなかったが,我々の結果により,底空間が曲線の任意次元の森ファイバー空間にアフィン空間を実現する為の非常に汎用性のある方法を編み出した.(2)は2年半に及ぶ,Dubouloz, Pedro Monteroとの共同研究によるものである.その動機は(1)のような底空間が正の森ファイバー空間内にシリンダーを実現することにあるが,それは生成ファイバーのシリンダー性に翻訳されることから,非代数閉体上に定義されているFano多様体のシリンダー性が重要なテーマになる.我々は標数ゼロの任意の体の上に定義されている,非特異な次数5のdel Pezzo多様体(結果的に次元は6以下)のフォームの分類と共に,シリンダー性を完成することに成功した.驚くべきことに,次元が4,5,6の場合にはすべて同次元のアフィン空間を含み,しかも次元4,5に対しては自明なフォームしか存在しないことが分かった.
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