研究実績の概要 |
事業申請書中の研究実施計画にしたがって論文2編を発表し、シンポジウムにおける 3 講演を行った。
1)An explicit Shimura canonical model for the quaternion algebra of discriminant 6, Hironori Shiga,RIMS Kokyuroku Bessatsu B77 127 - 140, 2020, 査読有り2)The Shimura canonical model for the quaternion algebra of discriminant 6 on the Ihara-Kurihara conic, Hironori Shiga,J. Number Theory, 201 257 - 279, 2019, 査読有り
a) Hypergeometric Modular functions and the Shimura canonical model with applications,Hypergeometric Measures and Multiple Zeta Values 2019年10月25日, 東北大学.招待有り,b) 報告: AIMS (African Institute for Mathematical Sciences) における、汎アフリカ先端数理教育, RIKEN iThems のアウトリーチについての研究会 2019(東大玉原国際セミナーハウス) 2019年5月31日, 招待有り,c) K3 modular functions and GKZ equations, alla Mandala ,Mini-Conference on special functions, algebra and geometry(東北大学) 2019年4月13日, 招待有り
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書研究計画は3項からなり "(b) Appell 型の超幾何微分方程式のシュワルツ写像から 27 個の2変数保型函数が;取り出せる(寺田 (1985)およひ Deligne-Mostow (1986) による)、その幾つかに対しては保型函数のテータ函数による表示が得られている。この方法を継続して新たな保型函数を得ることができる。すでに、この保型函数を用いて、数論的三角群(竹内喜佐雄が1977 に列挙)中の Delta (3,3, 5) に対して志村の意味の正準保型函数を研究代表者は構成したが、この手法を他の数論的三角群に適用できる。類似の正準保型函数が新たに 得られれば、未だ申請者の研究以外に具体例のない志村虚数乗法論による(虚数乗法体の)絶対類体の構成、が系列的に可能である。R2 年度に実行に移す。" に沿った研究成果の一部が上記2論文である。 計画"(a) 単純 K3 特異点と呼ばれる3次元正規孤立特異点が 95 種存在し(米村崇による (1990))、 この特異点自身が複素構造の変形を持ち、S. M. Belcastro によってそのピカール格子が決定された (1997)。その格子構造中に有望なものを申請者はすでに発見しており(リスト中の no. 88)、 このような族から K3 保型函数を構成できる。これを H31 年度に実行する。" に関しては、講演 (c) がその一端を公表したもので、現在すでにまとまった結果が得られており、論文として公表する準備をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
上記、研究研究計画 (b) に関しては、幾つか、(i)米村による 3 次元特異点リスト、(ii)K3 曲面の、いわゆる Lattice polarized family 、(iii) Batyrev による反映的凸体の理論、が交錯し、さらにこれらの周期写像が GKZ 型超幾何微分方程式で統制されることも明らかになりつつある。このような方向で、研究を拡大、深化させて行きたい。 研究計画中"(c) Candelas らによって提示されたDwork pencil に対するモシジュラー函数は、今日依然として明示的な表示が得られていない。その困難さは 、関連して現れる三角群 △(2,10,infinity) が非数論的だからだと思われる。この非数論的三角群は上半平面の直積 H×H にモシジュラー的 に埋蔵てできるので、H×H 上の K3 保型函数(すでに研究代表者が考察している)を通じて解明できる。これを全期間考察する"。に関しては、これは、4 次元の Batyrev の反映的凸体から来ており、直接的なアプローチが難しいと思われるので、さらに高次元の反映的凸体の研究に引き上げて考察することが考えられる。そのような拡大された研究の知見を、本来の問題の考察に適用する方法が考えられる。
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