(1) タクール(Thakur)超幾何関数(いわゆるカーリッツ指数型超幾何関数)を一般化し,階数 r のドリンフェルト加群に付随する超幾何関数(いわゆるドリンフェルト指数型超幾何関数)を定義した(この関数は r = 1 のとき,タクール超幾何関数である).同様に,ドリンフェルト対数型超幾何関数を定義した.それぞれある超幾何微分方程式の解であることを示した(超幾何微分方程式の価値は未定).カーリッツ対数型超幾何関数については収束半径を求めた(r = 2 以上については収束半径は未決定).ドリンフェルト超幾何関数をさらに一般化した(超幾何微分方程式は未決定).一般化のキーは分割(partiton)の概念であった. (2) Anderson と Thakur はカーリッツ加群の n 回テンソルに付随する指数関数( n 次正方行列係数の無限級数)の係数の成分の一部分を明示的に与え,それらがカーリッツ指数型超幾何関数であることを発見した.われわれは全成分を明示的に与え,それらがカーリッツ指数型超幾何関数の線型結合であることを示した.同様に,カーリッツ加群の n 回テンソルに付随する対数関数の係数の全成分を明示的に与え,それらがカーリッツ対数型超幾何関数の線型結合であることを示した.カーリッツ・ポリログと,その変種の特殊値が「超越数」であることを示した.証明には Yu の 1991 年の結果を用いた. (3) ドリンフェルト対数型超幾何関数(パラメータは自明)を用いて,有限体上のあるドリンフェルト・モジュラー曲線の塔が漸近的最良であることを証明した.具体的には以下: n 階のドリンフェルト・モジュラー曲線の有理点(超特異点)をカウントする際に,ドリンフェルト対数型超幾何関数の関数等式を用いた.種数の計算には Garcia-Stichtenoth の結果を用いた.
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