研究課題/領域番号 |
19K03407
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
古澤 昌秋 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50294525)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 保型L函数 / L函数の特殊値 / テータ対応 / ジーゲル保型形式 |
研究実績の概要 |
ベッヘラー予想 (Boecherer's Conjecture)のトーラス上の指標が非自明な場合への拡張、すなわち、一般化されたベッヘラー予想について、森本和輝(神戸大学)との共同研究を引き続き行った。応用上、重要であると思われる、アーベル曲面と関係すると予想される重さ2の場合も、temperedの仮定のもとで含むことができるようになった。ベクトル値ジーゲル保型形式の場合を含む形で、これまで残っていた、明示公式における2ベキに関する曖昧さも解消できた。 論文はまもなく完成し、学術誌に投稿する予定である。 また、ベッヘラー予想の証明は、ユニタリ群U(2n)とU(1)に関するベッセル周期についての、Refined Gan-Gross-Prasad予想、すなわち、市野-池田型のL函数の中心特殊値の明示公式の証明から得られるが、こちらについても論文がほぼ完成し、まもなく投稿する予定である。この研究成果についても、今後、様々な応用が期待される。 引き続き、COVID-19の影響によって、対面での研究交流を通して、この研究成果を国内外に発信する機会が得られなかったことは、大変残念であった。しかし、リモート開催された、2021年6月の浦項工科大学(韓国)の数論セミナー及び2022年3月の日本数学会年会特別講演において、これらの成果についての講演を行い、内外の研究者たち に、この研究成果をアピールすることができた。講演に対しては、好意的な反応を受け取ることができた。ちなみに、後者の講演は、2022年度日本数学会代数学賞受賞特別講演であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数のテータ対応を組み合わせて用いる複雑な証明のため、原稿の完成に手間取ってしまったが、ほぼ完成の状態に近づいたことは、評価してよいと思う。ここまでたどり着いたのだから、あとは一刻も早く、学術誌に投稿することが重要である。
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今後の研究の推進方策 |
さきに述べたように、2つの論文を学術誌に投稿することが最優先課題である。 ベッヘラー予想の応用として、スピノルL函数の中心特殊値の評価の問題について考察したい。ベッセル周期を与えるようなポアンカレ級数のフーリエ係数は、行列変数のクルスターマン和と関係する。以前に、相対跡公式によるベッヘラー予想の証明を考えていたときに行った、行列変数のクルスターマン和に関する考察が役に立つかどうかを調べてみたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文初稿の改訂に、当初考えていたよりも、随分と時間がかかってしまった。これについては、今考えてみると、論文の記法の複雑さ、論証の困難さからして、やむを得ない面もあった。一刻も早く改訂を完成させて、国際学術誌への投稿を急ぐ予定である。
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