Gauss の超幾何級数と超幾何微分方程式は、数学や物理の様々な分野に現れ、重要な役割を果たしている。それらの一般化として、級数がみたす常微分方程式がその特異点集合を不変に保ち階数が 2 から p(>2) に増えた一般超幾何級数・一般超幾何微分方程式や、一変数をm変数(m>1)にした4種類の Lauricella の超幾何級数・超幾何微分方程式系がよく知られている。 この研究では、一変数の場合には一般超幾何級数になり、多変数で階数が一番低く抑えられた場合には、C型の Lauricella 超幾何級数になるm変数超幾何級数を導入した。その級数の収束域を決定し、Euler 型の積分表示を与え、その級数がみたすm個の微分方程式を見つけ、それらで生成される微分方程式系の階数が p^m になることを示した。また、原点の近くの点の近傍におけるこの微分方程式系の基本解系を与えた。そしてその微分方程式系の特異点集合が m個の座標超平面と p^(m-1) 次の既約超曲面になることを示した。ここまでの内容は、他の共著者3名との論文 A system of hypergeometric differential equations in m variables of rank p^m としてまとめ、preprint 2024 として arXiv:2404.00295 [math.CA] にて公開している。 さらに、特異点集合の補集合 X の p^m次アーベル被覆を考察することにより、X の基本群が (m+1)個のループで生成されることを示した。この微分方程式系のモノドロミー表現をこれらのループに沿った基本解系の周回行列を求めることにより決定した。これらの結果については、論文を作成中である。
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