研究課題/領域番号 |
19K03416
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
越谷 重夫 千葉大学, 先進科学センター, 特任教授 (30125926)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 有限群 / 表現論 / モジュラー表現論 / 森田同値 / ブロック / 不足群 / 二面体群 / 一般四元数群 |
研究実績の概要 |
2020年度には査読付き論文が2編出版され、また査読付き論文5編の掲載決定がなされた。全部、有限群の表現論における局所大域予想に関するものである。 出版された一つ目の論文では、二面体群をシロー2部分群に持つすべての有限群に対して、その主ブロックを森田同値より強い条件(以前プーチ同値と呼ばれていた splendid 森田同値)で結ばれているものどうしの同値類で完全に分類したものである。これは、30年ほど前の Karin Erdmann による森田同値での分類をより精密化させた結果である。ドイツ・Springer出版発行の学術雑誌 Mathematische Zeitschrift に掲載された。 掲載された2つ目の論文も同系統の趣旨で、一般四元数群(したがって2群)をシロー部分群に持つすべての有限群に対して、その主ブロックを splendid 森田同値で結ばれているものどうしの同値類で分類したものである。これも、やはり上記 Karin Erdmann による30年ほど前の結果をより精密化させたものになっている。アメリカ合衆国 Elsevier出版発行の学術雑誌 Journal of Algebra に掲載された。 上記の論文はどちらもスイス出身の研究者 Caroline Lassueur(ドイツ・カイザースラオターン工科大学講師)との共同研究である。彼女との共同研究および他の何人かの共同研究者との研究打ち合わせのために、いくつかの海外出張を予定していたが、世界的新型肺炎(コロナ)の影響で、これらが全部不可能になり、インターネットを使った共同研究を行った。彼女は、昨年12月ドイツ・アーヘン工科大学での研究集会およびイギリス・マンチェスター大学でのセミナーで、私との共同研究結果をいくつか発表講演を行った(どちらもインターネット上ではあるが)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有限群の表現論、特にモジュラー表現論における局所大域予想を研究している訳であるが、これは次のように言い換えることができる。「考えている有限群のpブロック(ここでpは考えている基礎体の標数)の性質は、その不足群とp融合系(p-fusion system)でほぼ決定されてしまう」を証明せよ、がそのスローガンである。これをもとに、我々は、上記「研究実績」での tame型表現で唯一残っている「考えている有限群の2シロー部分群が準二面体群(quasi-dihedral, semi-dihedral)の場合を次の目標にするのは至極自然な当然の流れである。これに関してもほぼ目途が付いている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上記で述べた「有限群の主ブロックを表現論的視点から分類する問題」をより一層推し進める。これは自動的に、今回の研究課題の最大目標である「局所大域予想」へ近づくことになる。技術的なことを言えば、ここ5年間ほど Ipek Tuvay (トルコ)との共同研究の課題である「ブラウアー直既約性」をそれぞれの場合に証明しておくことが非常に重要になるので、これを頑張って推進させたい。 また、共同研究開始から既に8年くらい経ってしまった Thomas Weigel (イタリア・ミラノ大学)との巡回群を不足群に持つブロックの整環上での表現に関しての研究も完成がほぼ視野に入っているので、これも是非推し進めて、完成させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、新型肺炎コロナの影響で、予定していた海外研究者との共同研究および海外での研究集会およびセミナーがことごとく中止になってしまったので、それ等の経費として充てていた予算が結構大幅に残ってしまった。これは令和3年度に繰越して、そして未消化だった直接対面での国際共同研究を行って、研究を進めたいと思う。
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