研究実績の概要 |
研究課題名は、有限群の表現論における局所大域予想、であるが、これに関する幾つかの予想の一つに、ブルエ予想がある。未だに、完全な解答を得るには至ってないが、今まで知られている肯定的に解けた多くの手法、証明法の一つが、いわゆる gluing method(貼り合せの方法)である。この方法を採った場合、局所と大域を結ぶ役割の両側加群の、そのブラウアー商(構成)が局所(二つの非自明 p 部分群の中心化群上)で、森田同値が成立することが、必須である。この目的のためには、先ず第一に、ブラウアー直既約性を証明しなければならない。このための、便利な方法を提示したものが、今年度出版された Ipek Tuvay(トルコ)との共著「Recognition of Brauer indecomposability for a Scott module」(査読付論文、国際学術雑誌、シンガポール)である。上記ブルエ予想の完全解明のために、大いに役立つと期待している。 今年度は4月にドイツ・オーバーヴォルファッハ数学研究所での研究集会に招待され、講演(招待)を行った。この研究集会は有限群の表現論を研究している世界中のトップ50人余りの招待された者のみが参加できるもので、一番最近の結果(Caroline Lassueur, Benjamin Sambale との共同研究、因みにこの2名も上記の黒い森地区での研究集会に出席していて、研究打合せ等ができ、今回の研究課題に大いに役立った。6月にはドイツ・アーヘンでの研究集会に出席、これも研究打合せができ、有意義であった。 また、京都大学数理解析研究所で12月にセミナーでの講演、2月には研究集会での最新の研究結果の紹介の講演を行った。どちらも、局所大域予想に関するものであった。講演以外の時間に、対面での研究打合せができ、研究推進にたいして、大きな手助けとなった。
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