研究課題/領域番号 |
19K03417
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
山形 邦夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (60015849)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 多元環 / 加群 / フロベニウス多元環 / 支配次元 / 国際共同研究 |
研究実績の概要 |
1)有限次元自己入射多元環(フロベニウス多元環)の支配次元は無限であるが、それ以外の多元環で支配次元が無限のものは知られていない(中山予想1958)。一般に支配次元は大域次元を超えない。そこで本研究では支配次元の有限性の問題を研究するために、任意に与えられた多元環に対し、ある性質を有する加群(無数に存在する)の準同型多元環で有限大域次元を持つものに注目し、それら準同型多元環の支配次元の上限を剛性次元と命名して剛性次元が有限になるための一般論を調べた。中山予想や他の関連する予想問題が肯定的に成立すれば剛性次元はつねに有限であることを確認し、剛性次元は常に有限になるであろうと予想をたて、この予想を成立させる重要な多元環の発見や、異なる多元環の剛性次元を比較した。この結果、自己入射的ではない多元環の剛性次元と入射次元との比較や、安定同値な2つの多元環の剛性次元を比較することができた。また自己入射多元環の重要な一例である対称多元環の剛性次元は安定同値により不変であることを証明した。さらに自己入射多元環の剛性次元は導来同値によって不変であることを証明した。 2)フロベニウス多元環の構造に関する研究ではこれまでの研究成果の応用として中山多元環が遺伝型多元環の軌道多元環となるための条件を決定した。 3)フロベニウス多元環とその表現に関する研究成果のまとめとしてヨーロッパ数学会より出版予定の本(第三巻)の原稿執筆を引き続き準備した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヨーロッパ数学会から出版予定の本(「Frobenius Algebras」 第三巻)の執筆は予定通りの進展は得られなかったが、支配次元の研究では今後の基礎となる一般論を展開することができたうえ、環の構造に関する研究でも中山多元環の軌道構造を確定するなどの成果をあげることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も海外共同研究者と連絡をとりながら研究を遂行する。 剛性次元の研究については今年度にまとめることができた一般理論の応用として、主として種々の多元環の剛性次元を調べる計画を立てている。さらにフロベニウス多元環の構造の研究に関しては軌道構造以外にも新たな構成方法などを探求する。また「Frobenius Algebras」の第三巻の執筆を継続する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由 開催が中止されたり健康上の理由により参加できなかった研究集会があった。 使用計画 次年度の旅費の補助に使用する。
|