研究課題/領域番号 |
19K03419
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
林田 秀一 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80597766)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 有限2次加群 / ヴェイユ表現 |
研究実績の概要 |
行列指数のヤコビ形式を、指数の行列のサイズが3となるもので具体的に構成し、ある特別な行列指数について、加群としての構造を決定した。また、そのL関数のオイラー因子を具体的に計算することで、他のヤコビ形式の空間との対応のある種の予想を得ることができた。ヤコビ形式は、テータ級数による分解を用いることでベクトル値のモジュラー形式と対応させることができる。テータ級数の変換公式はよく知られており、このベクトル値のモジュラー形式の変換公式はテータ級数達の変換公式から得ることができる。特にテータ級数達の間に同型の対応がある場合は、ベクトル値のモジュラー形式をそのまま用いることで、ヤコビ形式の空間の間の同型対応を得ることができ、特にヘッケ作用素の作用で不変となることが知られていた。今回、得られた予想はこのヤコビ形式間の対応とは異なり、テータ級数達の間に同型対応がないことは、その変換公式、すなわち有限2次加群の構造を見ることで分かる。また指数の行列のサイズが2となるヤコビ形式の具体的な加群構造はいくつか知られていたが、その指数の行列のサイズが2となるヤコビ形式のL関数のオイラー因子の例も求めた。この場合は、知られているヤコビ形式との間には対応はつかないようである。ヘッケ作用素と可換になるヤコビ形式の空間の間の同型対応としては、格子指数の場合に、Mocanu氏により予想が立てられているが、そちらも証明はされていない。今回得られた予想は、指数の行列のサイズが3であり、より一般なヤコビ形式の場合に拡張できる可能性があると思われる。 また、以前より共同研究を行なっていた、実二次体上のヤコビ形式の構成と加群の決定についてより簡明な別証明を得ることができた(N.-P.Skoruppa氏とH.Boylan氏との共同研究)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コンピュータを用いた計算により具体例を求めているが、一般的な証明には至っていない。また共同研究で行なっている方は、現在執筆修正中であり、雑誌に投稿前の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
計算例を用いた予想を立てているが、その証明および一般化に関連して、計算による関連情報を増やし、また他の文献を調べる。具体的に関連する研究としては、有限2次加群やベクトル値モジュラー形式のヘッケ理論である。これらの文献を中心に調べ、考察したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外での研究集会の参加を計画していたが、体調不良やその国でのストライキによる交通機関の乱れ等を考慮し、取りやめたことによる。次年度は海外や国内の研究集会に参加する。
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