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2019 年度 実施状況報告書

保型形式論における非可換方向のフーリエ級数展開を基軸とした新しい研究基盤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K03431
研究機関早稲田大学

研究代表者

成田 宏秋  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70433315)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードFourier-Jacobi展開 / genericカスプ形式 / Eichler-Zagier対応 / 球関数 / 四元数離散系列表現
研究実績の概要

研究期間の初年度である今回の研究では, 研究対象であった四元数離散系列表現を生成する保型形式のFourier-Jacobi展開の理論の構築に向けて今一歩の進展であったが, 今後の研究推進に向けて重要な知見と言える成果を得た.
初年度の研究で次数2のシンプレクティック群のWhittaker模型を持つカスプ形式つまり``generic''なカスプ形式にも適用可能なFourier-Jacobi展開の一般論が構築できた. このFourier-Jacobi展開の記述に必要な球関数は織田氏, 宮崎氏, 平野氏などの研究により1990年代から2000年初頭にかけて整備されていたが, それをFourier-Jacobi展開に実現する大域理論がなかった. 今回の研究で古典的な正則ヤコビカスプ形式と半整数ウェイトの楕円カスプ形式との間のEichler-Zagierの同型対応を表現論的文脈で一般化するアイデアが, この大域理論に他ならないことを突き止めて既述のFourier-Jacobi展開の構築に至った.
実はこのアイデアは四元数離散系列表現を生成する保型形式のFourier-Jacobi展開に使えるもので, 実際四元数離散系列表現を有する単純Lie群はHeisenberg放物型部分群と呼ばれる放物型部分群を持ち, 次数2のシンプレクティック群の場合の「ヤコビ群」の類似物が取り出せて, Weil表現の概念を使ったEichler-Zagier対応の類似が自然に期待できる.
四元数離散系列表現の場合のFourier-Jacobi展開に関連して, Aaron Pollack氏が与えた一般化Whittaker関数が四元数離散系列表現を生成することを証明した。これはFoirier-Jacobi展開の指数0の項を記述するものであるが, 今後は指数0でない項の記述の進展を目指す.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

四元数離散系列表現を生成する保型形式のFourier-Jacobi展開の理論の構築という点では今一歩の進展であったので以上の進捗状況の評価とした. しかし次数2のシンプレクティック群のFourier-Jacobi展開の理論の構築は間違いなく今後の研究の進展を後押しするものであり, ネガティブな評価のみでは片づけられないと判断している. それに研究実績の概要で述べたような四元数離散系列表現に対する一般化Whittaker関数の表現論的知見も得ており, ポジティブに進展を評価できる要素もあったことは注意しておきたい.

今後の研究の推進方策

研究実績の概要でも述べたが, 四元数離散系列表現を生成するFourier-Jacobi展開の理論の構築に向けて指数が0でない項の記述が当面の課題と考えている. これは平野氏が次数2のシンプレクィック群で与えたFourier-Jacobi型の球関数の明示公式を, この四元数離散系列表現の場合で与えるのが必要不可欠である. この初年度の研究を通じてAaron Pollack氏が与えた一般化Whittkae関数の明示公式の理解をより深めることが今後の研究に重要と認識するに至っている. 必要に応じてPollack氏に質問しつつ研究を推進する意向である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 その他

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Fourier-Jacobi expansion of non-holomorphic real analytic cusp forms on Sp(2,R)2020

    • 著者名/発表者名
      成田宏秋
    • 学会等名
      RIMS共同研究(公開型)「保型形式とL関数の解析的・幾何的・p進的研究」
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 成田宏秋ホームページ

    • URL

      http://www.f.waseda.jp/hnarita/narita.htm

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公開日: 2021-01-27  

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