研究課題/領域番号 |
19K03441
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 剛 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60390431)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 準ガロア点 / ガロア直線 / 弱ガロア・ワイエルシュトラス点 / 自己同型群 / 代数関数体 / ガロア点 / 代数曲線 |
研究実績の概要 |
代数関数体の内部構造を調べるために、吉原久夫氏(新潟大学名誉教授)は、射影平面内の射影代数曲線(平面曲線)に対して、「ガロア点」なるものを定義した。平面曲線のガロア点の概念は、吉原氏によって射影代数多様体の「ガロア部分空間」に拡張されその基礎的研究が行われた。また一方で、深澤知氏(山形大学)と三浦敬氏(宇部工業高等専門学校)と私により、ガロア点の一般化として、平面曲線の「準ガロア点」が定義され、その研究が進行中である。米田二良氏(神奈川工科大学)と私によって、ガロア部分空間や準ガロア点とは別のガロア点の一般化として、非特異射影代数曲線の「弱ガロア・ワイエルシュトラス点」が定義された。本研究課題では、この準ガロア点と弱ガロア・ワイエルシュトラス点の個数とその分布について研究し、さらに代数曲線の自己同型群の研究に応用することを目指している。 2020年度は、深沢氏と三浦氏との共同研究により、非特異平面代数曲線の準ガロア点の個数の上限について、これまで得られていた結果を精密化することができた。さらに結果は論文にまとめられ、学術雑誌への投稿一歩手前というところまで完成してきた。 また、米田氏との共同研究により、3次元射影空間内の6次代数曲線に対して、射の次数が6となるガロア直線をたくさん持つ例について、その考察を進めた。その結果、これまで全てのガロア直線がどれだけあるのか不明だったある具体例について、そのガロア直線の本数を決定することができ、また代数曲線の自己同型群を決定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19による影響で、国外はおろか県外への出張も全くできなかった。そのため、共同研究者との対面による打ち合わせを設定することができなかった。そのため共同研究者との意思疎通に困難が生じた。対面による研究集会も完全中止となり、研究遂行に必要な情報収集も予定通りにはできなかった。さらに、COVID-19の感染予防対策により、在宅勤務の増加、大学での講義形式のオンライン化など、それらの対応にも時間を取られることになった。以上の理由により、研究課題で進捗は滞ることになった。 COVID-19対応下でも共同研究者と研究打ち合わせができるように、オンラインでの研究打ち合わせの方法を模索した。それに伴い、Zoomを利用したオンライン会議で数学の研究打ち合わせができるように、必要な機材を購入した。 上記のような状況であったが、米田二良氏(神奈川工科大学)とZoomを用いたオンラインによる研究打ち合わせを行うことができた。そして、3次元射影空間内の6次代数曲線に対して、射の次数が6となるガロア直線をたくさん持つが全てのガロア直線がどれだけあるのか不明だった代数曲線のある具体例について、そのガロア直線の本数を決定することができ、また代数曲線の自己同型群を決定することができた。 また、深澤知氏(山形大学)、三浦敬氏(宇部工業高等専門学校)とのZoomを用いたオンラインによる研究打ち合わせでは、非特異平面代数曲線の準ガロア点の個数の上限について、これまで得られていた結果を改良することができた。
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今後の研究の推進方策 |
深澤知氏(山形大学)、三浦敬氏(宇部工業高等専門学校)との共同研究によって得られた、平面代数曲線の準ガロア点に関する結果は、論文化し投稿一歩手前の段階まで来ている。今後は学術雑誌へ投稿を行うために、論文のチェックを進めていく。 米田二良氏(神奈川工科大学)との共同研究により、3次元射影空間内の6次曲線に対して、ガロア直線の本数と分布について解明を目指す。対象となるガロア直線を考察する際に、弱ガロア・ワイエルシュトラス点の考察が手がかりになることが、具体例の計算からわかってきた。これまで得られた考察結果から、対象となるガロア直線の本数が決定できる手応えを得ている。さらに得られた考察手法を用いて、より種数の高い曲線に対してその標準埋め込みを考え、それらのガロア部分空間について研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大の影響により、国外はおろか県外へも出張することができなかった。その結果2020年度は、共同研究者との対面による研究打ち合わせや、学会・研究集会へ参加が全くできない状況が続いた。使用計画では国内外への出張費の割合が大きい計画であったため、大幅に次年度使用額が生じることとなった。 2021年度もCOVID-19感染状況は改善の見込みが低い。そのため、次年度使用額を出張費としては使用することが難しい。共同研究者との研究打ち合わせや、学会・研究集会での情報収集がままならず研究に遅れも生じている。3年計画だった本研究計画を4年間に延長することを検討したい。延長許可が得られれば、COVID-19感染の落ち着きを待って、研究打ち合わせや学会参加の出張費に次年度使用額を利用したい。
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