| 研究課題/領域番号 |
19K03442
|
|---|
| 研究機関 | 北海道大学 |
|---|
研究代表者 |
佐々木 洋城 北海道大学, 理学研究院, 研究院研究員 (60142684)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
| キーワード | 有限群 / ブロック・イデアル / デフェクト群 / ソース多元環 / extraspecial p-群 |
|---|
| 研究実績の概要 |
有限群のブロック・イデアルのコホモロジー環はそのブロック・イデアルのソース多元環により決定されるものであるが、一般にソース多元環を考察することは困難であり、目下のところ、ブロック・イデアルのデフェクト群を指定してそのソース多元環の構造を調べている。ソース多元環の加群構造の課題はコホモロジー論的に重要なだけでなく、モデュラー表現論全体の中でも重要である。具体的なブロック・イデアルのソース多元環を考察する過程で、ソース多元環の直和因子についてのひとつの一般的な定理を発見していたが、その定理に基づいて、本年度は引き続き、デフェクト群がextraspecial p-群であるブロック・イデアルのソース多元環の加群構造について整理、考察を続けた。このブロック・イデアルにおいては表現論で現れる様々な現象が典型的に現れることが多く、そのコホモロジー環やソース多元環の考察により一般論につながる新しい課題が発見される可能性が高い。成果としては、このようなブロック・イデアルのソース多元環のコホモロジー論的に重要である直和因子はあるBrauer対応のソース多元環と基底となる加群のテンサー積であることを確認し、ブロック・イデアルのソース多元環が定める移送写像がBrauer対応のソース多元環間が定める移送写像とある写像の合成写像として得られることを示した。この現象はより一般的な現象の現れであると思われ、新たな課題である。また、ブロック・イデアルのコホモロジー環には寄与しない直和因子の可能性を決定できた。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デフェクト群がextraspecial p-群であるブロック・イデアルについて整理、考察し興味深い現象を確認でき、新たな課題であるが、これについては理論的な前進はまだである。
|
| 今後の研究の推進方策 |
本年度に新たに認識した課題について、さらに具体例を調べる。これまでの研究を整理し、さらに、一般的な考察に進む。ブロック・イデアルのコホモロジー環はホッホシルト・コホモロジー環に埋め込まれるのだが、ホッホシルト・コホモロジー環における安定部分環の理論を精密化することによってブロック・イデアルのコホモロジー環の理論を発展させる。ソース多元環の直和因子とそれが導くコホモロジー環の移送写像との関係も調べる。そのため、移送写像の核についての考察にも取り組む。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ・ウィル感染症流行のため出張ができなかった。次年度は状況が落ち着くと思われるので出張する予定である。
|
